2010 Fiscal Year Annual Research Report
食道扁平上皮癌におけるmicroRNAによる細胞増殖・悪性度制御機構の解明
Project/Area Number |
21790072
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
土屋 創健 京都大学, 薬学研究科, 助教 (80423002)
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Keywords | microRNA / 食道扁平上皮癌 / 細胞増殖 / 悪性度 / 創薬 |
Research Abstract |
FGFRL1が食道扁平上皮癌のバイオマーカー及び治療標的分子として有用であるかどうかを検証するため、食道扁平上皮癌の臨床サンプルを用いてFGFRL1タンパク質の免疫染色を行ったところ、正常組織と比較して癌組織におけるFGFRL1タンパク質の発現亢進が示唆された。さらにFGFRL1タンパク質の染色性と生存率において有意な相関が認められ、FGFRL1タンパク質の発現量が多いほど予後が悪い傾向が明らかとなった。加えてFGFRL1タンパク質の細胞外領域における抗体が食道扁平上皮癌細胞株の細胞増殖を有意に抑制することを見いだし、FGFRL1が未だ有効な分子標的薬及びバイオマーカーが存在しない食道扁平上皮癌における新規の治療標的分子及び予後判定バイオマーカー候補として期待されることが判明した。 miR-210の3つの腫瘍増殖抑制効果(G1/G0、G2/M期における細胞周期停止、アポトーシスの亢進)の内、G1/G0における細胞周期停止はFGFRL1の発現低下を介すことを昨年度に明らかにしたが、残りの作用点の分子メカニズムは不明であった。そこで、miR-210によりRNA分解されずに翻訳抑制されるmRNAの実験的かつ網羅的な同定を行った。その結果、新規標的遺伝子としてRAB26を同定し、RAB26が食道扁平上皮癌細胞の細胞増殖に関与するかどうかをsiRNAを用いて検証したところ、RAB26のノックダウンにより有意な癌細胞増殖の低下が観察され、FACS解析からG2/M期における細胞周期停止とアポトーシスが亢進することが明らかとなった。さらにmiR-210の標的部位である3'UTRを欠失させたRAB26を発現させると、miR-210の細胞増殖抑制効果が有意に軽減された。以上のことから、miR-210の細胞増殖抑制効果は少なくともFGFRL1とRAB26の発現低下を介していることが示唆された。
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Research Products
(6 results)