2009 Fiscal Year Annual Research Report
抗うつ治療モデルにおける脳部位特異的な遺伝子ネットワークのシステム解析
Project/Area Number |
21790074
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
瀬木 恵里 Kyoto University, 薬学研究科, 准教授 (70378628)
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Keywords | 脳神経疾患 / マイクロアレイ / 遺伝子 / 神経科学 / ストレス |
Research Abstract |
うつ病の発症機序や抗うつ薬治療の作用機序については未だ不明な点が多いのが現状である。うつ病態・抗うつ治療における分子的なメカニズムについては、近年海馬・前頭前野での解析に焦点が当てられている。しかしながら、臨床的には視床下部・扁桃体など情動を制御する領域の関与も強く示唆されていることから、本領域の関与について分子メカニズムでの解析を行う必要があると考えた。本研究の目的は、うつ病治療モデルにおいて、脳内の細胞レベル・分子レベルでどのような変化が起きているかを同定することである。本研究で明らかにしようとする内容は、1)抗うつ治療により活性化される視床下部や扁桃体の神経核を特定し、2)そこでの網羅的な遺伝子発現変化を捉えることで、3)脳部位特異的な遺伝子ネットワークのシステム解析を行い、抗うつ治療プロセスの領域特異的な働きを同定することである。H21年度においては下記のような成果を上げた。 ・抗うつ治療モデルにおいて活性化される視床下部や扁桃体の神経核の同定。 抗うつ治療モデルとして、マウスに対し電気けいれんショック法を用い、c-fosの免疫染色を指標として活性化された視床下部の神経核の同定を行った。その結果、視床下部のうち、特に腹内側核と室傍核において、c-fosの発現が上昇しており、神経核の活性化が起こっていることが明らかとなった。 ・マイクロダイセクション法を用いた、脳切片からの組織片単離と微量RNA抽出法の確立。 マウス脳切片からマイクロダイセクション法を用い切片からの組織片単離を行った。脳組織に適した切片厚・固定法・染色法の確立を行い、RNAの分解を最小限にとどめ、1匹の視床下部神経核から約1ng程度のRNA単離に成功した。この後、回収RNA量に見合ったcDNAの増幅法の確立のため、RNA量を1-100ngでスタートした場合で逆転写・増幅・ラベル化を行い、マイクロアレイ解析の信頼性を検討た。その結果2ng RNAスタートで再現性が高いことを確認した。
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Research Products
(4 results)