2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規プロスタグランジンD2受容体CRTH2を介した高次脳機能調節
Project/Area Number |
21790077
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
新谷 紀人 Osaka University, 薬学研究科, 助教 (10335367)
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Keywords | CRTH2 / prostaglandin D2 / lipocalin-type prostaglandin D synthase / PACAP / photic entrainment / psychomotor behaviors / sickness behaviors / PC12 cells |
Research Abstract |
本研究では、研究代表者らが行った神経ペプチドPACAPの中枢機能解析の過程でその下流標的として同定した、リポカリン型プロスタグランジンD2(PGD2)合成酵素(L-PGDS)、およびPGD2のII型受容体(DP2,CRTH2)に着目し、明暗環境順応、自発運動/探索行動、神経突起伸展への関与を解析することで、CRTH2の創薬標的分子としての可能性評価を行うことを目標として研究を行い、平成21年度は以下の成果を得た。 1) 遺伝子欠損(KO)マウスの検討から、光誘発の行動リズム位相制御、行動量抑制、交感神経活性化、の3種の明順応反応にPACAPが関わる一方、L-PGDSとCRTH2は位相制御のみに関与する可能性を見出した。またこれら両分子はPACAPと同様、位相制御のうち前進反応特異的に関与することを明らかにした。 2) CRTH2-KOマウスは自発運動活性や感覚機能に異常はないが、強制水泳試験において抗うつ様の表現型(無動時間減少)を示すことを見出した。またlipopolysaccharide(LPS)投与によるsickness behavior誘発モデルにおいて、本マウスでは、LPS誘発の自発運動量、摂食量の減少は保持されていたが、他のマウスとの社会的相互作用や新奇物体への探索行動の減少が選択的に消失することを見出した。 3) 神経系のモデル細胞であるPC12細胞において、CRTH2活性化作用を有する15d-PGJ_2が、神経栄養因子NGFによるMAPキナーゼリン酸化および神経突起伸展を増強すること、一方でこれらの作用がCRTH2の選択的拮抗薬で阻害されることを見出し、神経系細胞におけるCRTH2の機能的発現を明らかにした。
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