2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞がネクローシスで死ぬかアポトーシスで死ぬかを決定づける因子の探索
Project/Area Number |
21790078
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐藤 聡 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40530663)
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Keywords | 細胞死 / ネクローシス / アポトーシス / プロテオーム解析 / トランスクリプトーム解析 / Heat shock protein 90 / 転写因子 / 細胞骨格 |
Research Abstract |
本研究は、ネクローシスとアポトーシスの細胞死制御機構を明らかにすることを目的としている。我々は抗がん剤5-Fluoro-2'-deoxyuridine(FUdR)を作用させるとネクローシスを起こす哺乳動物細胞FM3A細胞野生株F28-7株とこれから派生した細胞でアポトーシスを起こすF28-7-A株を有している。これら両細胞株のネクローシス、アポトーシス誘導時のトランスクリプトーム及びプロテオーム解析を行い、細胞死を制御する可能性のある因子を見出している。平成21年度までに、我々は核膜構造タンパク質であるLamin-B1と細胞骨格タンパク質であるCytokeratin-19を、ネクローシスとアポトーシスの細胞死を制御する因子として同定している。平成22年度は(1)候補因子について、siRNAを用いてノックダウンを行い、FUdRが誘導する細胞死が変化するか調べた。結果、候補因子の中でネクローシスを起こしている細胞で時間依存的に発現増加する転写因子Xをノックダウンすると、本来ネクローシスを起こすF28-7株が、アポトーシスを起こすことが明らかになった。(2)F28-7株にHsp90阻害剤であるGeldanamycin(GA)とFUdRを併用するとアポトーシスが起こるが、この時の転写因子XのmRNAレベル、タンパク質レベルをReal-time PCR及びWestern blottingで調べた。その結果、F28-7株においてFUdRとGA併用によって起こるアポトーシスでは、転写因子Xの発現増加は観察されなかった。以上の結果から転写因子Xの発現量の違いは、細胞がネクローシスで死ぬかアポトーシスで死ぬかを決定づけでいると考えられる。今後、転写因子X、Lamin-B1、Cytokeratin-19などの細胞死制御因子の詳細な機能解析を行うことで、細胞死の分子機構が明らかになると考える。
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Research Products
(8 results)