2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790079
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
細井 徹 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (40379889)
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Keywords | 肥満 / 小胞体ストレス / レプチン抵抗性 |
Research Abstract |
肥満は糖尿病、高脂血症、高血圧、動脈硬化症といった生活習慣病の主要な危険因子であり、その病因解明は臨床的観点から重要な研究課題であると考えられます。そこで本研究では、肥満の病態解明を目指すことを目的として、肥満遺伝子産物であるレプチンに着目して研究を行いました。レプチンは抗肥満作用を有するタンパク質です。従って、レプチン自身が抗肥満薬になる可能性が考えられますが、実際には肥満者においてはレプチンの作用障害すなわち「レプチン抵抗性」であることがわかってきました。従ってレプチン抵抗性の原因および治療薬を見出すことが肥満者の治療に重要であると考えられます。以前までの研究の結果、私達は、その「レプチン抵抗性」の原因として「小胞体ストレス」の関与の可能性を見出しております。「小胞体ストレス」とは、不良品蛋白質が蓄積することによって生じるストレスのことを言います。そこで今回、小胞体ストレスを標的とした抗肥満効果を有する薬物の探索を試みた結果、新たな候補薬物を見出すことに成功しました。本薬物は、小胞体ストレスによる細胞死に対して改善効果を示し、小胞体ストレスによるレプチン抵抗性に対しても改善作用を有していました。さらに、本薬物は高脂肪食負荷による肥満に対して改善効果を示しました。従って、本薬物は、新しいタイプの生活習慣病の治療薬として有効である可能性が考えられました。
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