2009 Fiscal Year Annual Research Report
MHC拘束性克服可能なリポソームワクチンを応用した抗ベロ毒素分泌型IgAの開発
Project/Area Number |
21790086
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
黒羽子 孝太 University of Shizuoka, 薬学部, 助教 (90333525)
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Keywords | 免疫学 / 粘膜免疫 / ワクチン / 薬学 / 感染症 / IgA |
Research Abstract |
免疫原性が低く抗原性を示さない抗原に対しても、効果的に抗原特異的分泌型IgAを誘導できる粘膜免疫ワクチンおよび腸管出血性大腸菌O157感染症に対する治療用分泌型IgAの開発を目的とする。大腸菌O157:H10が産生するベロ毒素の糖鎖認識サブユニット(Stx1B)は、抗原提示細胞の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスIIにStx1Bを構成するペプチドが提示されにくいために抗原性が低いということが明らかとなっている。この抗原性を改善するためにStx1Bと、MHCクラスIIに提示され、さらにT細胞を活性化することが知られているペプチドを共存させたリポソームを数種類作製し、マウスに経粘膜免疫を行い、その効果を検討した。しかしながら、現在の所、ペプチドを共存させる事による粘膜免疫増強効果は確認できていない。さらに、MHCクラスIIのハプロタイプ、T細胞受容体が認識するエピトープを考慮したペプチドの選択が必要であると考えられる。次にO157感染症に対する治療用分泌型IgAをin vitroで作製するために、Stx1Bで経粘膜免疫したマウスの鼻咽頭関連リンパ組織を用いてハイブリドーマを作製し、IgAを産生するハイブリドーマを得た。このハイブリドーマより抗体遺伝子および単量体IgA同士を繋ぎ二量体IgAを形成するために必要なJ鎖の遺伝子を獲得し、CHO細胞に導入することで二量体IgAを作製することに成功している。しかしながら、これまで得られたIgAはStx1Bへの親和性が低いことから、さらにStx1BとMHCクラスIIに提示させるペプチドを共存させたリポソームでの免疫方法を改良することで、抗原との親和性を増したIgAを得る必要があると考えられる。
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Research Products
(2 results)