2010 Fiscal Year Annual Research Report
血管平滑筋カルシウムマイクロドメインを構成する新規分子群の一分子可視化解析
Project/Area Number |
21790087
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山村 寿男 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (80398362)
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Keywords | カリウムチャネル / カルシウムチャネル / リアノジン受容体 / カベオリン / マイクロドメイン / 全反射蛍光顕微鏡 / 一分子可視化 / 血管平滑筋 |
Research Abstract |
平滑筋Ca^<2+>過負荷が生じているような病態時には、筋小胞体(SR)からの自発性局所Ca^<2+>遊離であるCa^<2+>スパークが頻発する。Ca^<2+>スパークによる局所的なCa^<2+>濃度上昇は、近傍の細胞膜に局在する大コンダクタンスCa^<2+>活性化K^+(BK_<Ca>)チャネルを活性化して過分極を誘発し、Ca^<2+>流入を制限した結果、負帰還的に筋緊張度を低下させる。本研究では、Ca^<2+>スパークドメインとそれらの基盤分子であるリアノジン受容体(RyR)やBK_<Ca>チャネル及び細胞膜ラフト構造を形成するカベオリン(Cav1)の空間的位置関係を全反射蛍光(TIRF)顕微鏡を活用して一分子可視化解析した。血管平滑筋の静止膜電位付近で観察されたCa^<2+>スパークは、自発一過性外向き電流(STOCs)や一過性過分極を誘発した。Ca^<2+>スパーク発生部位は、RyRの局在と良く一致した。BK_<Ca>チャネルの分布は、Ca^<2+>スパークドメインの中心とTIRF面において、平均して約500nm離れていたが、広がったCa^<2+>スパーク(半径500nm程度)によって、BK_<Ca>チャネル活性が十分に惹起される位置に局在していた。また、Cav1はBK_<Ca>チャネルと良く共存し、Ca^<2+>スパーク発生部位付近に局在していた。さらに、TIRF顕微鏡下での蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)法により、BK_<Ca>チャネルαサブユニットとCav1が分子間相互作用していることも示唆された。細胞膜直下で起こる局所Ca^<2+>変動は、興奮収縮連関の引き金となることや生体の恒常性維持、病態時における帰還機構としても重要であると認識されている。本研究によって、限局された部位におけるCa^<2+>動態を直接可視化したことは、平滑筋生理機構の解明に重要な知見を与えると考えられる。
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Research Products
(8 results)