2009 Fiscal Year Annual Research Report
虚血性網膜疾患における新規創薬標的分子としてのapelinの可能性
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21790098
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
笠井 淳司 Setsunan University, 摂南大学・薬学部, 助教 (40454649)
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Keywords | 網膜症 / アペリン / 血管新生 / 虚血 |
Research Abstract |
虚血性網膜症において病的血管新生は病態進行を促進するため、血管新生を抑制する治療が用いられている。具体的には、レーザーによる光凝固作用や抗血管内皮増殖因子(VEGF)抗体による血管新生抑制作用が行われている。しかし、これらの治療法では、視力障害が残ったり、全身性の副作用が報告されたりするなど、より効果的な治療法が求められている。そのため、網膜血管新生に関与する新たな因子の同定が必要である。研究代表者は、これまでアペリンが生理的な網膜血管形成に促進的に関与することを明らかにしている。そこで、今回、虚血性網膜疾患の動物モデルとして汎用されている酸素誘発網膜症(OIR)モデルを作製し、網膜血管新生に対するアペリンの作用を解析した。その結果、OIRモデルの病的血管新生が生じている時期に、アペリンが劇的に発現上昇していること、さらに、アペリン欠損(KO)マウスでは、これらの病的血管新生はほとんど生じないことを明らかにした。また、アペリンの作用標的を同定する目的で、受容体APJの免疫染色法を行った結果、血管新生が起きている血管内皮細胞に発現していることを見出した。さらに、増殖マーカーBrdUとAPJの二重蛍光染色を行った結果、APJとBrdUの共局在がみられた。また、OIRの網膜において、VEGFシグナルの発現量は、野生型マウスとアペリンKOマウスに差は見られなかった。さらに、内皮細胞を用いた検討から、アペリンsi RNAによるアペリン/APJシステムの抑制では、強力な血管新生因子であるVEGFの増殖作用は阻害されなかった。これらの結果から、アペリン/APJシステムが、OIRモデルの網膜血管新生において、既存のVEGFシグナルとは独立して内皮細胞の増殖作用を持つことで病的血管新生を促進していることが示唆された。
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Research Products
(5 results)