2010 Fiscal Year Annual Research Report
興奮性シグナルによるAMPK活性化とGABAB受容体の脱感作抑制機構の解明
Project/Area Number |
21790099
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
倉本 展行 摂南大学, 薬学部, 准教授 (60324092)
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Keywords | ガンマ-アミノ酪酸(GABA) / 5'-AMP活性型キナーゼ / リン酸化 / GABAB受容体 / 神経細胞 / 神経系幹/前駆細胞 |
Research Abstract |
抑制性神経伝達を担うGABA_B受容体の二つのサブユニットR1及びR2のうち、R2の783番目のセリン残基(S783)は、5'-AMP活性型キナーゼ(AMPK)によりリン酸化される。AMPKの触媒サブユニットの172番目のスレオニン残基(T172)は、カルモジュリンキナーゼキナーゼ(CaMKK)によりリン酸化されることから、AMPKは興奮性刺激に応答して活性化することが考えられる。本研究では、培養日数経過に伴うNMDA受容体の機能的発現、R2の発現及びS783のリン酸化レベルの変動について解析した。方法として、マウス胎児大脳皮質から調製した神経細胞を、基礎培地としてNeurobasalまたはDMEM/F12を用いて培養した。細胞内蛋白質の発現及びリン酸化の変動をウェスタンブロッティング法により解析した。NMDA受容体の機能的発現はカルシウム指示薬(Fluo-4)の蛍光増加、神経細胞の生存はMTT還元能の測定により確認した。その結果、いずれの培養条件でも、培養日数経過に伴い、NR1及びR2の発現は増加し、培養9日目でNMDA曝露に伴うCa^<2+>イオンの流入が確認された。一方で、培養日数経過に伴い、R2発現に対するS783の相対的リン酸化レベルは減少した。培養9日目の細胞生存率はDMEM/F12による培養条件下では、Neurobasalよりも減少し、細胞生存率が低いDMEM/F12による培養条件ではS783の相対的リン酸化レベルが比較的高値傾向が認められた。培養8日目の細胞にNMDAを15分間曝露したところ、AMPK及びR2のリン酸化のレベルが増加した。以上のことから、NMDA受容体の新規シグナルとしてAMPK活性化を介したGABA_B受容体R2サブユニットS783のリン酸化が明らかとなった。また、S783のリン酸化レベルが神経細胞の分化や生存に関与する可能性が推察される。
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