2009 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病患者の冠動脈バイパス血管の長期開存を目指して(薬理学的検討)
Project/Area Number |
21790104
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
田中 直子 Kyushu University of Health and Welfare, 薬学部, 講師 (70322576)
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Keywords | 糖尿病 / バイパス血管 / 薬理学 |
Research Abstract |
平成21年度、本研究において、糖尿病患者の冠動脈バイパス血管の長期開存を目指し、以下の点を明らかにした。 1. 冠動脈バイパス血管(内胸動脈および大伏在静脈)におけるセロトニン(5-HT)による血管収縮反応は、非糖尿病群に比較して糖尿病群において有意に増強していた。また、この増強作用は、特に5-HTの低濃度で著明であった。一方、KClによる血管収縮反応においては、両群の間に有意な差を認めなかった。 2. サルポグレラート(5-HT_<2A>受容体拮抗薬)およびSB224289(5-HT_-<1B>受容体拮抗薬)は、いずれも両群で5.HTによる血管収縮反応を有意に抑制し、無処置糖尿病群で観察された有意な5-HT反応性増強を消失させた。さらに塩酸ファスジル(Rho-kinase阻害薬)は、両群で5-HTによる血管収縮反応を有意に抑制し、無処置糖尿病群で観察された有意な5-HT反応性増強を消失させた。 3. ウエスタンブロット法およびRT-PCR法により、バイパスグラフト血管に存在する5-HT(5-HT_<2A>および5-HT_<1B>)受容体タンパク質とmRNA量の測定を行った結果、両者とも糖尿病群・非糖尿病群の群間に有意な差は認められなかった。 本年度の研究結果より、糖尿病患者において、冠動脈バイパス血管の5-HTに対する血管反応性が有意に増強していること、この増強作用には、5-HT_<2A>および5-HT_<1B>受容体の両者が関与することが示唆された。さらに、血管反応性増強メカニズムとして、Rho-kinaseを介した細胞内シグナル系の増強が関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)