2010 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病患者の冠動脈バイパス血管の長期開存を目指して(薬理学的検討)
Project/Area Number |
21790104
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
田中 直子 九州保健福祉大学, 薬学部, 講師 (70322576)
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Keywords | 糖尿病 / バイパス血管 / 薬理学 |
Research Abstract |
前年度に明らかとした糖尿病群におけるバイパスグラフト血管の5-HT血管反応性の増強作用とRho-kinaseの関与に引き続き、平成22年度は、糖尿病患者の冠動脈バイパス血管の長期開存を目指して、5-HT以外の血管作動性物質の関与について、さらに特に、インスリンと5-HTとの関連性について検討を行い、以下の点を明らかにした。 1.冠動脈バイパス血管(内胸動脈)におけるノルアドレナリン(NA)による血管収縮反応は、非糖尿病群に比較して糖尿病群において有意に増強していた。 2.冠動脈バイパス血管(内胸動脈)において、塩酸ファスジル(Rho-kinase阻害薬)は、糖尿病群および非糖尿病群において、NAによる血管収縮反応を有意に抑制し、無処置糖尿病群で観察された有意なNAによる血管反応性増強を消失させた。 3.冠動脈バイパス血管(大伏在静脈)において、インスリンは、濃度依存的に5-HTおよびNAによる血管収縮反応を抑制した。 本年度の研究結果より、糖尿病患者において、冠動脈バイパス血管に対する血管反応性は、5-HTのみならず、NAにおいても有意に増強していること、また、この増強作用にはRho-kinaseを介した細胞内シグナル系の増強が関与している可能性が示唆された。さらに、インスリンが5-HTおよびNAの血管反応性を弱めており、その機能不全が生じた糖尿病状態下においては、これら血管作動性物質の血管反応性が増強している可能性が示唆された。
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Research Products
(7 results)