2009 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体コレステロールによる脂肪滴形成とリポタンパク質分泌の制御
Project/Area Number |
21790105
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
牧野 麻美 The Institute of Physical and Chemical Research, 小林脂質生物学研究室, 特別研究員 (20373368)
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Keywords | コレステロール / 脂肪滴 / 肝細胞 / VLDL / ApoB / ADRP / 脂質ドメイン / ACAT |
Research Abstract |
肝臓において、コレステロールは中性脂質とともに超低比重リポタンパク質(VLDL)として合成、分泌され体中の細胞に運ばれる。一方、肝細胞は脂肪滴の形成も常時行い、肝臓内にコレステロールや中性脂質を蓄積している。よって、VLDLの分泌、また脂肪滴の形成は肝臓の重要な機能であり、これらが異常になった場合は、肝臓さらには生体全体に著しく影響を及ぼす。これまでの研究により、ACAT阻害剤とコレステロール・サイクロデキストリンの複合体を用いて、ヒト肝臓由来培養細胞Huh7の小胞体のコレステロールを増加すると、VLDL,の分泌が阻害され、VLDLを構成するリポタンパク質ApoBが細胞内へ蓄積すること、そして脂肪滴の主なタンパク質であるADRPの分解が促進され、脂肪滴の数が減少することがわかった。蛍光顕微鏡を用いて、ApoBの局在を調べたところ、小胞体マーカーPDIと共存することがわかった。われわれの結果は、小胞体にコレステロールが豊富なドメインが存在し、そこにApoBが蓄積され、その結果VLDLの分泌を阻害していることを示唆している。しかし小胞体のコレステロール量を生化学的に定量することは難しい。そこで、われわれはコレステロールが豊富なドメインを観察するために、新たな脂質プローブの開発を行った。新たに発見されたタンパク質は、コレステロールとスフィンゴミエリンの複合体を認識することが人工膜を用いた実験で示唆された。今後、細胞を用いてこのタンパク質の性状解析を行う予定である。
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