2009 Fiscal Year Annual Research Report
医薬品承認用量の三極における多様性の要因やその影響の分析
Project/Area Number |
21790109
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
草間 真紀子 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 助教 (80313146)
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Keywords | レギュラトリーサイエンス / 評価科学 / 規制環境 / 民族差 / 人種差 / 開発戦略 |
Research Abstract |
承認用量を「最大・通常維持・通常初期用量のうち比較可能な1日量の上限」と定義し、2001-2008年に日本で承認された医薬品を対象に、米国で同等の適応症で承認されている品目について日米の用量比(米国/日本)を調査し、開発特性、医薬品の特性についての情報を収集し、用量比の分布を層別に検討した。申請資料概要、添付文書、インタビューフォーム、米国Label、を情報源とした。165品目が対象となり、62品目で日米間の用量が異なり、そのうち33品目で用量比が2以上であった。用量比は薬効群で異なり、優先審査品目、希少疾病医薬品では比が1のものが多かった。希少疾病医薬品では国内で用量設定試験を行わず、海外の用量設定試験を評価に用いることが多かった。排泄経路における遺伝多型の人種差の有無で、用量比は特徴的な分布を示さなかった。 次に、日本人と欧米人のAUCならびに日米の用量が入手可能な品目について、AUC(原則同一投与量・剤形の日本人、欧米人のもの)を調べ、開発特性、用量、医薬品の特性と比較した。AUC比は日本人AUC/欧米人AUCで求め、0.8以上1.25以下の範囲にある場合は、日本人と欧米人におけるAUCは同等とみなした。119品目が対象となり、日本人と欧米人で薬物動態が大きく異なる医薬品は少なかった。国内承認用量の決定には、人種差をあらわす薬物動態の違いよりも、たとえば国内外の用量設定試験で得られた実際の有効性や安全性などの要素が重視されていると考えた。また、開発戦略や規制要件の違いが承認用量の決定に影響を与えている可能性も考えられる。このような臨床開発時における人種差の指標として用いたAUCは、承認用量比と直接的な関係はみられなかった。臨床開発初期にみられる人種差と、臨床開発戦略・薬価算定における企業行動、それに市販後安全性、との関連を今後掘り下げたい。
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Research Products
(8 results)