2011 Fiscal Year Annual Research Report
医薬品承認用量の三極における多様性の要因やその影響の分析
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21790109
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
草間 真紀子 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (80313146)
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Keywords | レギュラトリーサイエンス / 評価科学 / 規制環境 / 民族差 / 人種差 / 医薬品開発 |
Research Abstract |
医薬品の承認用量比を「最高用量の日米比」と定義したデータベースを前年より拡張し、対象医薬品数は昨年度までと同様の190とし、医薬品の開発戦略に関する情報も追加した。このデータベースを用いて医薬品臨床開発戦略や意思決定に着目して解析を進め、医薬品の承認用量の決め手となるのは、薬物体内動態よりむしろ臨床試験や開発戦略であることを補強する結果を得た。こうした背景には日本のドラッグラグの状況も関係している可能性があり、研究を継続している。 民族差の内因的要因として薬物体内動態の人種差に着目したところ、日米の承認用量比とは特徴的な関連はみられなかった。日本/米国用量比が1となる確率が高かったのは、抗ウイルス薬や優先審査品/希少疾病医薬品、外資系企業の申請品目、日本の申請データパッケージに外国臨床試験が含まれる品目、それに米国最高用量群が日本人用量設定試験で検討されてなかった品目であった。医療のニーズの大小や、安全性の懸念の指標として承認条件の有無でも層別したが日本/米国用量比との関連も観察されなかった。日本人用量設定試験が実施されたのは190中90品目であった。 日本人用量設定試験を実施し、かつ外国臨床試験が日本の承認申請に使用されている場合では、日本/米国用量比が1となる確率が高かった。抗生剤や代謝系薬物、それに希少疾病用薬では日本人用量設定試験が実施されにくい傾向にあった。日本人用量設定試験を実施していない外資企業の開発品目の多くは、日本/米国用量比が1となる確率が高かった。外資企業の開発品目で日本/米国用量比が1となる傾向の理由として、外資企業は日米で同一投与量を提案することが企業行動の上で都合がいいことが挙げられる。企業ごとの傾向を検討したものの特徴はみられなかった。別の理由として、外資企業は外国臨床試験を申請データパッケージに使用することにより、結果として日本/米国用量比が1となることも考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに研究は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
解析対象品目数が多くないので今後はデータベースに近年承認された品目を追加し、解析を進めたい。また、日米の承認用量の違いと健康アウトカムも疫学的手法でもって検討する。
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Research Products
(6 results)