2010 Fiscal Year Annual Research Report
炎症標的化キメラペプチド局所投与による炎症疾患新規治療方法の基礎検討
Project/Area Number |
21790111
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河野 雅之 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (00437203)
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Keywords | 医薬分子設計 / ペプチド創薬 / 分子標的 / 局所投与 / DDS |
Research Abstract |
我々はこれまでに薬剤耐性を受けにくい癌細胞膜崩壊性ペプチドを用いEGFR等の癌高発現分子への結合配列とキメラ化させた、革新的な分子標的抗癌剤「ハイブリッドペプチド」を設計することに成功した。この手法を炎症免疫系疾患へ応用すべく、炎症性サイトカイン受容体等へ結合する配列と細胞を殺さずに膜へ粘着する配列とのキメラ化ペプチドにより強固に炎症を抑制する新規炎症疾患治療方法の基礎検討を実施した。 1) 関節リウマチ等の重要な分子標的TNFαのアンタゴニストペプチドの候補品をin vitro bioassay, BIACORE等で選抜し、カチオンリッチな細胞膜粘着型配列及びスペーサー配列のスクリーニングを行い、in vitro評価系においてキメラ化による拮抗効果増強がみられた。 2) 重症敗血症等の分子標的としてリポ多糖(LPS)等エンドトキシンの受容体であるTLR4のアンタゴニスト候補品をin vitro評価系で選抜した。このペプチドはTLR4へ結合するよりもLPSへ強く結合して、LPS刺激によるマクロファージのTNFα産生阻害作用を示した。細胞膜粘着型配列とのキメラ化は困難であったが、十分に強い阻害作用を示した。 3) 肺等の線維化に重要なTGFβ1のアンタゴニストペプチド(AP)候補品を評価した。ヒト赤白血病細胞株TF-1を用いたin vitro評価系において、recombinant TGFβ1刺激による応答をAPは濃度依存的に抑制した。ブレオマイシン誘発肺線維化ラットモデルに対して、肺噴霧スプレーによりAPを1mg/kgで週2回計4回投与したところ、肺組織中の線維化指標のhydroxyproline及び肺胞洗浄液中の炎症因子を低減させた。AP候補品を短く改変してからキメラ化して薬効を増強させる検討を行う予定である。
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