2010 Fiscal Year Annual Research Report
分子認識を基盤としたホウ素クラスター含有生体機能制御化合物の構築とその応用
Project/Area Number |
21790116
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
太田 公規 東北薬科大学, 薬学部, 講師 (90347906)
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Keywords | ホウ素クラスター / 分子認識 / 生体関連化合物 / 機能性分子 / アニオンレセプター / イオンチャネル / 超分子 / 創薬化学 |
Research Abstract |
本研究者は、ホウ素クラスターであるカルボランの性質を利用した創薬ならびに機能性分子構築で世界の先駆け的研究を遂行している。現在までに、カルボランの高い疎水性に着目し医薬化合物の一構造単位として利用し既存の化合物を凌駕する強い生理活性を示す化合物の創製に成功している。また、カルボランの酸性C-H水素が水素結合のドナーとして機能することも見出している。これら結果を踏まえ、カルボランの疎水性を分子認識ポケットの構築に、酸性C-H水素を分子認識のトリガーとして利用し、生体機能性アニオンを認識しうる低分子化合物の創製を試みた。本研究者が見出したクロライドアニオンレセプターにスペーサーとしてベンゼン環を導入し、アニオン認識部位を拡大したところアニオン選択性ならびに結合定数を100倍以上向上させることに成功した。高いクロライドアニオン選択性ならびに結合定数は、クロライドアニオンチャネルの突然変異により生じる嚢胞性線維症の治療薬として極めて重要なプロファイルである。更に、計算科学によるアニオン認識メカニズムについて検討し、アニオン認識がカルボランのC-H水素とベンゼン環のC-H水素のような弱い水素結合ドナーによることを明らかにした。また、リン酸アニオン選択的な化合物の創製に注力したが、望むプロファイルを有する化合物を得ることはできなかった。しかしながら、カルボン酸アニオン選択性を示す化合物を見出すことに成功した。カルボン酸アニオンは生体内に多種存在する極めて重要なアニオンであり、それらを認識できる化合物は診断薬ならびに治療薬として高い潜在能力を秘めている
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Research Products
(14 results)