2011 Fiscal Year Annual Research Report
分子認識を基盤としたホウ素クラスター含有生体機能制御化合物の構築とその応用
Project/Area Number |
21790116
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
太田 公規 東北薬科大学, 薬学部, 講師 (90347906)
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Keywords | ホウ素クラスター / 分子認識 / 生体関連化合物 / 機能性分子 / アニオンレセプター / イオンチャネル / 超分子 / 創薬化学 |
Research Abstract |
無機化学で盛んに研究されていたカルボランの性質を生体機能性分子に応用することは、今までにない性質を示す化合物の創製という点で非常に興味深い。本研究者は、今までにカルボランの高い疎水性が医薬化合物の疎水性構造として有用であり、カルボランの酸性C-H水素が水素結合のドナーとして機能するなどの性質を見出している。本研究では、カルボランのC-H水素を利用したリン酸アニオン、カルボン酸アニオン、ハロゲンアニオンなど生体機能性アニオンの認識に焦点をおき、カルボランの高い疎水性を分子認識の空間形成に利用しこれらアニオンを選択的に認識する低分子化合物の創製を試みた。本研究者が見出してきた様々なアニオンレセプターについて、リポソームを用いクロライドアニオンの輸送について温度因子について評価した。本評価系では、リポソームを形成する脂質の相転位温度以下ではイオンチャネルとしての機能を、相転位温度以上ではイオノフォアとしての機能を評価することが可能である。結合定数の強弱に関わらず研究初期に見出した化合物のみが両温度でイオン輸送能を示し、その高い機能性を裏付ける結果となった。また、生体内リン酸アニオン選択的な化合物の創製に注力し結合定数の高い化合物を見出すに至ったが、選択性の向上や化合物の溶解性などに問題があり、目的のプロファイルを有する化合物を得ることはできなかった。そのような中で、本研究者はカルボン酸アニオンに高い選択性を示す化合物を見出すことに成功した。カルボン酸アニオンは生体内に多種存在する極めて重要なアニオンであり、それらを認識できる化合物は高い潜在能力を秘めている。脂肪酸や酸性アミノ酸などが関与する疾患の診断薬ならびに治療薬を目標として生体で機能するよう改良を施している。
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Research Products
(18 results)