2010 Fiscal Year Annual Research Report
ホスフィン酸型ジヌクレオチド誘導体を含むsiRNA分子の創製
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21790119
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
疋島 貞雄 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (70398816)
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Keywords | 薬学 / 有機化学 / 創薬化学 / ゲノム化学 / siRNA / ホスフィン酸 / ラジカル反応 / RNA干渉 |
Research Abstract |
細胞内におけるRNA分子の諸機能のうち,RNA干渉は近年最も研究されている転写後遺伝子抑制効果であり,現在では哺乳類細胞へのRNA干渉の適用には,短鎖の二本鎖RNA(siRNA)分子が幅広く利用されている.ところが,天然型siRNA分子は生物学的に不安定であることから,なんらかの化学修飾をを施す必要がある.そこで申請者は,RNA干渉効果の発現に深く関与しているタンパク質とsiRNA様の短鎖RNA分子とのタンパク質-RNA複合体の結晶構造情報に基づき,siRNA分子の3'突出末端にホスフィン酸型ジヌクレオチドを有するsiRNA分子を設計した.本研究課題は,その修飾型ジヌクレオチドユニットの効率的合成法を確立し,それらをsiRNA分子に組み込んだ場合の有用性(RNA分解酵素耐性やRNA干渉効果など)を明らかとすることを目的とした. ホスフィン酸型ジヌクレオチドユニット(以下,ジヌクレオチド誘導体)の合成法を確立するために,官能基選択性が高いラジカル反応に着目し検討を行った.まず,前年度において,次亜リン酸ナトリウムを利用した段階的な合成法について検討したが,目的とするジヌクレオチド誘導体を効率的に合成することができなかった.本年度においても引き続き基質保護基を種々変更して検討したが,本合成法に従いジヌクレオチド誘導体を効率良く合成することは困難であることが明らかとなった. また,二つのアルケニル基をラジカルアクセプターとして,次亜リン酸酸ナトリウムをラジカルドナーとして用いる連続的ラジカル反応についても検討した.本合成法の基質として,二つのアルケニル基をシリルケタールで連結したシリルケタール体の合成を検討したところ,痕跡量ではあるが目的とする化合物の生成を確認することができた.更なる条件の最適化をはかる必要はあるものの,今後は本合成法に基づき検討する予定である.
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