2010 Fiscal Year Annual Research Report
水素結合架橋水を配置する擬似対称型プロテアーゼ阻害剤の設計研究
Project/Area Number |
21790121
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
日高 興士 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (30445960)
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Keywords | 感染症 / 酵素 / 阻害剤 / 分子設計 / 分子認識 / アスパラギン酸プロテアーゼ / HIVプロテアーゼ / プラスメプシン |
Research Abstract |
1. 薬剤耐性HIVに対して活性が向上する基質型HIV-プロテアーゼ阻害剤のKNI-1909は、酵素との複合体の分子モデリング計算の結果、野生型および変異HIVプロテアーゼと2つ安定な架橋水を配置することが新たに観察された。そこで、KNI-1909の様なD-アミノ酸誘導体を擬似対称型分子に導入すると4つの架橋水を配置できることから、KNI-1909の化学構造に特徴的なスルフォニル基が架橋水を配置させると予想されたことから、両末端にスルフォニル誘導体を導入した擬似対称型化合物をデザインし、合成した。その結果、スルフォニル誘導体を導入した擬似対称型化合物は野生型HIV-1プロテアーゼ阻害活性が低かったので、他の置換基の導入を検討することにした。すなわち、基質型HIVプロテアーゼ阻害剤のうちで強力なHIVプロテアーゼ阻害活性を示す化合物構造中にある置換アミノオキサミド構造に着目した。このオキサミド部分の2つのカルボニル酸素がスルフォニル誘導体の酸素と同様に4つの架橋水を形成できると考え、擬似対称型化合物を設計し、合成した。その結果、比較的強い野生型HIV-1プロテアーゼ阻害活性を示すものを同定した。更に、置換基の構造変換を行った。 2. 水素結合架橋水を配置する擬似対称型阻害剤について、ロピナビル耐性株由来の6つの耐性変異部位をもつHIVプロテアーゼ(A17mut)に対する活性評価を行った。野生型と変異体酵素の阻害活性を比較したところ、多くの擬似対称型化合物は変異プロテアーゼに対して阻害活性が大きく低下したが、ある特定の構造を持つ擬似対称型化合物は変異プロテアーゼに対して阻害活性が低下し難いことが分かった。 3. 架橋水を配置する擬似対称型HIV-プロテアーゼ阻害剤のHTLV-Iプロテアーゼに対する活性を評価したところ、比較的弱いが、阻害活性を有することが分かった。
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