2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子と薬物・化学物質の併用による安全性評価に関する研究
Project/Area Number |
21790127
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
磯田 勝広 Teikyo Heisei University, 帝京平成大学・薬学部, 講師 (60423117)
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Keywords | 薬学 / 薬理学 / 有害化学物質 / 衛生 / 環境 |
Research Abstract |
ナノマテリアルは、医工学などのあらゆる分野において次世代の万能素材として注目されている。微粒子のうち直径100ナノメートル以下のものをナノ粒子と呼ぶが、このように粒径が小さくなると、粒子の体積に対する表面積の比が急激に増大し、予期できない特性が出現する。香粧品、食料品中にはナノマテリアルが利用されていることから、薬物投与・化学物質暴露時のナノ粒子の安全性評価は焦眉の急であるが、薬物投与・化学物質暴露時に対する安全性評価に関する研究は未だ十分に行われていない。そこで本研究において、ナノ粒子と薬物・化学物質の投与や暴露による安全性を検証し、ナノ粒子の安全性評価の公定法確立に資する基礎的知見の集積を試みた。 モデルナノマテリアルとしては市販されている標準ナノマテリアルであるナノシリカを用いた。株化細胞HepG2、Caco2、JEG3、ラット初代肝実質細胞を用い、各細胞を96穴プレートに播種・培養し、粒系70nm、300nm、1000nmのナノシリカを濃度0.1~100μg/ml添加した。細胞傷害性は、WST法により評価した。WSTの生存細胞数の結果から、株化細胞はナノシリカを添加した際に細胞傷害はなかった。初代培養肝細胞においては各粒径のナノシリカを50μg/ml以上添加した群において生存している肝細胞は明らかに減少していた。さらにin vivoにおいてのナノシリカの肝傷害性を検討し、ナノシリカ投与により急性肝毒と慢性肝毒性があることを見出した。そこで、ナノシリカと各種薬物・化学物質との共投与による薬物相互作用を検討した。四塩化炭素(0.005ml/kgb.w.)・パラコート(50mg/kgb.w.)・シスプラチン(100umol/kgb.w.)をそれぞれ腹腔内に投与し、同時に、ナノシリカを尾静脈より投与した。結果各種物質とナノシリカの共投与によりAST/ALTの上昇、もしくはマウスの死亡が観察された。 以上より、ナノシリカ粒子には薬物・化学物質と相互作用を起こし、肝障害を惹起する知見が得られた。今後、さらに多種のナノマテリアルを用い相互作用の検討を行う必要がある。
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