2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子と薬物・化学物質の併用による安全性評価に関する研究
Project/Area Number |
21790127
|
Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
磯田 勝広 帝京平成大学, 薬学部, 講師 (60423117)
|
Keywords | 薬学 / 薬理学 / 有害化学物質 / 衛生 / 環境 / 毒性学 |
Research Abstract |
粒子径100nm以下のナノ粒子は香粧品、食料品に利用されていることから、薬物投与・化学物質暴露時の安全性評価は焦眉の急である。しかし、薬物投与・化学物質暴露時に対する安全性評価に関する研究は未だ十分に行われていない。本研究はナノ粒子と薬物・化学物質の投与や暴露による安全性を検討した。今年度は、ナノシリカ、ナノポリスチレンおよび実材料として水溶性フラーレンを用い、in vivoにおいて検討を行った。実験には8週齢雄性BALB/cマウスを使用した。四塩化炭素、パラコート、シスプラチンを腹腔内、粒子径50,200,1000nmナノポリスチレン(NPP50,NPP200,NPP1000)、粒子径30,50,70,1000nmナノシリカ(SP30,SP50,SP70,SP1000)、フラーレンを尾静脈内投与し、肝傷害の指標としてAST値・ALT値を測定した。結果、BALB/cマウスへNPPを単独投与した際に、AST値・ALT値の上昇は認められなかった。NPP50と四塩化炭素、パラコート、シスプラチンとの併用投与に伴い、それぞれの単独投与群に比べて、AST値・ALT値の増大が観察された。NPP200およびNPP1000では併用投与した際にAST値・ALT値の上昇は認められなかった。また、SP30、SP50とSP70を各々、四塩化炭素、パラコート、シスプラチンとの併用投与した際、SP30の肝毒性が最も大きかった。フラーレンは併用投与において肝傷害は観察されなかった。以上のことより、ナノポリスチレン粒子は、薬物・化学物質と相互作用を起こし、肝障害を惹起する知見が得られた。さらにナノシリカはサイズが小さくなるほど相互作用が増大し、肝障害が強くなった。また、フラーレンは薬物相互作用を引き起こさなかった。今後ナノマテリアルの種類により薬物・化学物質の相互作用を検討する必要がある。
|