2010 Fiscal Year Annual Research Report
セレン結合性タンパク質欠損マウスを用いたダイオキシン毒性発現機構の解明
Project/Area Number |
21790128
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
石田 卓巳 崇城大学, 薬学部, 准教授 (10301342)
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Keywords | SeBP / 欠損マウス / ダイオキシン / TCDD / 毒性発現機構 / 卵巣 / ガン |
Research Abstract |
細胞の可溶性画分に存在するセレン結合性タンパク質(SeBP)は、ヒトやげっ歯類などの哺乳動物のみならず植物や線虫など種をこえて発現が確認されているタンパク質である。本タンパク質は、ダイオキシン類の曝露によりマウスやラットの肝臓で顕著に誘導されることが明らかとなっている。しかし、その生理作用が明らかになっていないため、その誘導がもたらす意義については不明な点が多い。本研究では、SeBPの生理的意義を明らかにし、ダイオキシン類による毒性との関連性を明らかにするため、ノックアウトマウスの構築を試みた。本年度は、前年度構築に成功したF1ヘテロマウス(ヘテロ型SeBP欠損マウス)同士の交配を行い、ホモ型SeBP欠損マウスの入手を試みた。F1ヘテロマウスの雄と雌、それぞれ1匹ずつをケージ内でmatchingし、交配が確認されたものから個別飼育に切り替えた。出産ののち、3週令の時点で児を離乳させ、genotypingによる遺伝子型の確認を行った。その結果、野生型、ヘテロ型、およびホモ型のSeBP欠損マウスの入手に成功した。それぞれの型のマウスにおける成長を観察したところ、加齢に伴う体重増加に差は認められなかった。また、成熟後の性行動、および出産胎児数も各型における顕著な差は認められなかった。成長後の臓器重量を観察した結果、雌のホモ型SeBP欠損マウスにおける卵巣の重量が、野生型に比べ有意に増加することが明らかとなった。これに対し、雄のマウスでは、各型間で有意な差は認められなかった。以上の結果から、SeBPは、特定臓器におけるガン抑制因子として機能している可能性が示唆された。
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