2010 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子MTF-1を介した重金属依存的転写活性化機構の解明
Project/Area Number |
21790137
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
木村 朋紀 摂南大学, 薬学部, 講師 (70340859)
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Keywords | MTF-1 / 亜鉛 / カドミウム / メタロチオネイン |
Research Abstract |
本研究課題では、MTF-1を介した重金属依存的な転写活性化の分子機構を明らかにすることを目的として、(1).MTF-1自身のリン酸化修飾を介した活性制御機構の解析と(2).MTF-1によるクロマチン構造変化を介した遺伝子発現制御機構の解析を行った。 (1)の解析に関しては、カドミウムによるメタロチオネイン(MT)誘導にはMTF-1が必須であり、この誘導に対してc-Jun N-terminal kinase(JNK)阻害剤dicoumarol (dic)が阻害作用を示すことが知られている。昨年度は、JNKによるリン酸化部位であると推定されるMTF-1内のアミノ酸残基をアラニンに変異しても、MTF-1の転写活性化能がほとんど影響を受けないという成果を得た。今年度は、siRNAによりJNK1およびJNK2の発現を低下させ、dicによるMT誘導阻害作用へのJNKの関与を検討した。しかしながら、JNK1とJNK2の発現を、それぞれ低下させてもMT誘導はほとんど影響しなかった。Dicは、JNK阻害以外の機序によりMT誘導を阻害していると考えられる。(2)の解析に関しては、昨年度に、亜鉛によるMT遺伝子の転写化に伴い、MTプロモーターの近位において、ヒストン・コア粒子が取り除かれていることを明らかにした。今年度は、本現象に関与する因子を明らかにするため、リモデリングファクターであるBrglおよびBrm、さらに、ヒストンシャペロンのAsflaおよびAsflbの発現をsiRNAにより低下させ、MT誘導に与える影響を評価した。しかしながら、いずれの因子の発現を低下してもMT誘導に大きな影響を与えることはなかった。別々に発現を低下しても、他の因子が代償的に作用しているかもしれない。同時に多種類の因子の発現を低下した検討が必要である。
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