2009 Fiscal Year Annual Research Report
薬物間相互作用の機序としてのトランスポーター機能低下メカニズム
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21790142
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
設楽 悦久 Chiba University, 大学院・薬学研究院, 准教授 (00306656)
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Keywords | トランスポーター / 薬物間相互作用 / OATP / Oatp |
Research Abstract |
これまでに、ラット肝において有機アニオン性化合物の取り込みに関与するトランスポーターであるorganic anion transporting polypeptide lalの機能をシクロスポリンが持続的に阻害することを、in vivoでの実験およびラット 遊離肝細胞あるいはトランスポーター発現細胞を用いた実験により明らかにしてきた。本実験では、同様の現象が、ヒトにおいても観察されうるかどうかについて検討を行うために、シクロスポリンによるヒト型トランスポーターOATP1B1およびOATP1B3発現細胞での輸送に対する影響を検討した。この結果、シクロスポリンを曝露した細胞においては、除去した後であっても持続的な機能阻害が見られることを明らかにした。その一方で、タクロリムスにおいては、持続的な阻害効果は認められなかった。シクロスポリンにおいては、一定時間曝露した後では、単なる競合阻害に比べて強い阻害効果が得られることが明らかとなった。このことは、臨床において、シクロスポリン血中濃度から予測されるより強い阻害が見られる可能性があることを示唆している。 また、臨床用量においてOATPを阻害することが報告されているフィブラート系高脂血症治療薬によるOATPおよび胆汁酸トランスポーターであるNTCPに対する影響について検討を行った。この結果、クロフィブラートをラットに投与したときには、持続的な阻害効果が見られたが、トランスポーター発現量の低下を伴っており、このことが原因となっている可能性が示唆された。一方で、NTCPにおいては取り込み速度の亢進が見られた。膜を構成している脂質組成の変化が見られており、このことが影響している可能性が考えられる。
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Research Products
(3 results)