2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規疾病治療法の確立を指向したトランスポーターの細胞膜上発現量制御機構の解析
Project/Area Number |
21790146
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 久允 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 助教 (10451858)
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Keywords | トランスポーター / 肝内胆汁うっ滞 / 細胞内ソーティング / 胆汁酸 / フェニルブチレート |
Research Abstract |
Bile salt export pump(BSEP), Multidrug resistance-associated protein 2(MRP2)は毛細胆管側膜に発現し、胆汁中へと胆汁酸、抱合型ビリルビンを排泄する役割を担っているABCトランスポーターであり、その発現量低下に起因する機能不全はそれぞれ肝内胆汁うつ滞、黄疸を惹起する。BSEP,MRP2の発現量が低下する分子機構については不明であるため、これら疾患に対してはtarget-basedな治療薬は存在せず、疾患が重篤化した場合には、現状では肝移植が唯一の根治療法である。申請者はこれまでに、4-フェニルブチレート(4PBA)がBSEP、MRP2の細胞膜発現量を増加させる薬効を有することを見出していることから(Hayashi H, Sugiyama Y.Hepatology. 2007 45(6):1506-16.)、本研究では、肝内胆汁うっ滞(BSEP)、黄疸(MRP2)の治療法確立を見据え、4PBAの薬効発現機構に基づいて、両トランスポーターの毛細胆管側膜上における発現量制御機構の解析を進めている。 平成21年度は、4PBAを投与したラット肝臓から調製したRNAを用いて実施したマイクロアレイ解析において、発現変動が認められた200遺伝子のうち、細胞膜タンパク質の細胞膜からの分解過程への関与が報告、あるいは想定される遺伝子に着目してパスウェイ解析を遂行するとともに、BSEP発現培養細胞を用いて、パスウェイ解析から同定された遺伝子の機能解析を進めた。その結果、細胞膜近傍でBSEPと相互作用し、BSEPの細胞膜からの内在化促進に働くことで、BSEPの細胞膜発現量を負に制御するタンパク質をコードする遺伝子の同定に成功した。今後は、当該遺伝子のin vivoにおけるBSEPに対する作用について検討を進めるとともに、4PBAの作用が当該遺伝子を介して生じる可能性についても、BSEP発現培養細胞、実験動物を用いて解析を進める予定である。
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