2009 Fiscal Year Annual Research Report
腎疾患時のヒト腎近位尿細管における薬物トランスポータの変動と発現制御因子
Project/Area Number |
21790149
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本橋 秀之 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (30359822)
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Keywords | 薬学 / 腎臓 / トランスポータ |
Research Abstract |
尿細管における物質輸送には細胞膜上に発現する膜タンパク輸送体(トランスポータ)が重要な役割を果たしている。薬物トランスポータの発現並びに機能変動は、薬物動態と密接に関わることが報告されている。一方、慢性腎疾患の進展には様々な生体因子が関わることが報告されている。しかし、ヒト慢性腎疾患時において機能するような制御因子と薬物トランスポータの変動に関する情報は未だ皆無である。そこで本研究では腎疾患進展に関わる増殖因子と薬物トランスポータ発現変動との関連を解明することを目的とした。 初年度は日本での主要な慢性腎疾患、メサンギウム増殖性糸球体腎炎の増悪に関与する増殖因子・サイトカイン類に焦点をあてた。具体的にはTGF-betaやPDGF、IL-6、BMP-7等を中心に解析を進めた。まず、これらサイトカインの発現量を測定するため、Real-time PCRによる測定条件を確立した。またレーザーマイクロダイセクション法による腎近位尿細管の単離及びRNAの精製にも成功した。そこで、TGF-beta、PDGF、IL-6、BMP-7について、予備的な検討をおこなったところ、腎皮質においてこれらサイトカインの発現が確認された。しかしながら、これら予備的検討において、サイトカインとトランスポータ発現量との間に相関は認められなかった。本年度は限られた例数での検討において有意な相関は観察されなかったが、さらに症例数を重ねて増殖因子・サイトカイン類と薬物トランスポータの機能・発現変動との関連について検討を進めていく予定である。また、トランスポータタンパクの発現変動についても検討を加える予定である。
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