2009 Fiscal Year Annual Research Report
インスレーターモデルに基づくCYP3A4活性の個人差要因解明
Project/Area Number |
21790151
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
廣田 豪 Kyushu University, 大学院・薬学研究院, 助教 (80423573)
|
Keywords | 薬物代謝酵素 / エピジェネティクス / バイオマーカー / 発現制御 |
Research Abstract |
1 脱メチル化処理細胞におけるCYP3A4遺伝子発現やヒストンアセチル化状態への影響 脱メチル化によりCYP3A4 mRNA発現は濃度依存的に増加を示したが、CYP3A4遺伝子上流域に作用することで転写を制御することが知られている転写因子であるPXR、VDR、PRMTは増加しなかった。よって脱メチル化剤によるCYP3A4遺伝子の発現増加は転写因子の誘導によるものではなく、CYP3A4遺伝子自体の脱メチル化に起因することが示唆された。 またCYP3A4遺伝子上流域におけるアセチル化ヒストンH3は脱メチル化により結合量が増加する傾向を示した。本結果は、脱メチル化によるCYP3A4 mRNA発現増加の結果と併せ、CYP3A4遺伝子の発現がDNAメチル化やヒストンアセチル化を介して調節するという考え方を支持するものである。 2 レポーターアッセイによるCYP3A4遺伝子5'上流域の機能解析 コヒーシンモデルでは、コヒーシンやCTCFによる遺伝子のループ形成を通してエンハンサーとプロモーターが空間的に近傍に配置され、両領域が相互作用して遺伝子発現が調節されると考えられている。TSA処理した細胞においてエンハンサーとプロモーターが近接した状態を模したベクターを用いて評価を行った。その結果エンハンサーとプロモーターを近接させたベクターでは約30倍の転写活性の上昇を認めた。これは、エンハンサー単独、プロモーター単独の転写活性がそれぞれ9~10倍であったことを考慮すると、両領域の連携による相乗的な転写活性上昇だといえる。 以上の結果はCYP3A4遺伝子がDNAメチル化やヒストンアセチル化といったエピジェネティックな制御を受けており、コヒーシンモデルのような制御機構が関与するという考え方を支持する。これらの領域におけるDNAメチル化・ヒストンアセチル化はCYP3A4活性の個人差を解明する上で有用な指標となる。
|