2009 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体ストレス誘導脂肪組織恒常性破綻を抑制するメタボリック症候群改善薬の探索
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21790153
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
神谷 哲朗 Gifu Pharmaceutical University, 薬学部, 助手 (60453057)
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Keywords | EC-SOD / アディポネクチン / タプシガルギン / 小胞体ストレス制御因子 / salubrinal |
Research Abstract |
本研究では、新規メタボリック症候群改善薬の提示を最終目的とする。そのためには、小胞体ストレス下における脂肪細胞機能制御因子の発現の変動とその機序の解明が必要であると考えられた。そこで、平成21年度ではin vitro実験系を用いて、小胞体ストレス下の3T3-L1細胞における酸化ストレス防御酵素(EC-SOD、他のSOD)並びにアディポカイン類(アディポネクチン、TNF-α)のmRNA発現変動をRT-PCR法を用いて網羅的に解析した。小胞体ストレス誘導方法(タプシガルギン添加法)にて3T3-L1細胞を処理した場合、タプシガルギンの濃度・処理時間依存的にEC-SOD発現量が減少することを見出した。しかし、他のSODアイソザイムの発現量に変化は認められなかった。この結果は、虚血状態誘導下の3T3-L1細胞及びCOS7細胞を用いた時の実験結果と同様であった。また、アディポネクチン発現量が減少すること並びに炎症性アディポカイン(TNF-α及びMCP-1)発現量が一過性に増大することも見出した。一方、これまでにPERK、eIF2α並びにCHOP等の小胞体ストレス制御因子によって、アディポネクチン発現量が調節されていることが報告されている。しかし、上記制御因子によるEC-SODの発現制御の詳細は解明されていない。そこで、EC-SOD発現に及ぼす小胞体ストレス制御因子の影響を検証したところ、eIF2αの脱リン酸化阻害剤であるsalubrinalを前処理することにより、タプシガルギンによるEC-SOD発現量の減少が有意に増強することを見出した。また、蛋白質合成阻害剤cycloheximideの前処理により、タプシガルギンによるEC-SOD発現量の減少は有意に抑制された。この成果から、小胞体ストレス下の脂肪細胞では、eIF2α由来シグナルによってEC-SOD発現量が調節されている可能性が示唆された。 以上、平成21年度の研究成果により、in vitro実験系の実験方法・実験条件の確立と共に、本研究のターゲット遺伝子であるEC-SODの発現調節機構を解明する上で重要な知見を得ることが出来たと考えられる。
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Research Products
(5 results)