2009 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病薬物治療標的としての膵β細胞脂質シグナリング制御に関する基礎的研究
Project/Area Number |
21790154
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
金子 雪子 University of Shizuoka, 薬学部, 助教 (00381038)
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Keywords | ジアシルグリセロールキナーゼ / ジアシルグリセロール / ホスファチジン酸 / インスリン分泌 / 膵β細胞 / プロテインキナーゼC |
Research Abstract |
本研究は、新たなインスリン分泌調節因子としてジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)に着目し、DGKによる基質ジアシルグリセロールとリン酸化産物ホスファチジン酸の細胞内における量的調節による脂質代謝シグナリング制御とインスリン分泌調節との関係を明らかにすることを目的としている。本年度は、DGKがどのような経路を介して活性化を受けるのかを明らかにすること、また、DGKのインスリン分泌調節における役割を解明するために、インスリン分泌に対するDGKの機能評価を行った。まず、マウス膵島、膵β細胞株であるM1N6細胞において、DGKアイソフォームの発現を検討した結果、タイプIDGKアイソフォームであるDGKα,γを含む7種類のDGKアイソフォームの発現を確認した。さらに、I型DGKを選択的に阻害することにより、高濃度グルコースや高濃度K^+により誘発されるインスリン分泌が強く抑制されること、その作用が[Ca^<2+>]_iの低下を伴っていることを明らかとした。また、GFP融合DGK分子のリアルタイムイメージング観察から、高濃度K^+による細胞膜脱分極刺激により、DGK_γアイソフォームが活性化されることが明らかとなった。しかし、高濃度グルコース誘発インスリン分泌反応には、DGK_γの顕著な活性化は認められなかったことから、DGK_γ以外のタイプIDGKアイソフォームが関与している可能性が考えられた。今後は、インスリン分泌調節に関わるDGKアイソフォームの特定と、その機能について検討を進め、生理活性脂質調節分子がインスリン分泌に果たす役割を解明していく予定である。
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