2011 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化発症の初期病変を効率的に評価可能なバイオマーカーの探索
Project/Area Number |
21790156
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
岩城 壮一郎 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 助教 (60399962)
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Keywords | 動脈硬化症 / バイオマーカー / miRNA / PAI-1 / スフィンゴシン1-リン酸 |
Research Abstract |
動脈硬化性疾患の発症や再発を阻止するには、より早期の診断と治療開始が必要であるが、動脈硬化症発症の初期段階を診断可能なバイオマーカーはまだ実用化されていない。本申請課題では、12週齢の健常マウスまたは大動脈弓組織に軽度の脂肪沈着が認められるApoE欠損脂質異常症マウス(動脈硬化症モデルマウス)の動脈硬化症発症部位よりtotal RNAを抽出し、miRNAアレイにより両群間において特異的に発現が変動するmiRNAの探索を行うことで動脈硬化症発症に関わるmiRNAの候補を得た。現在我々は、得られたmiRNA候補のスクリーニングを進めている。 また本申請課題では、名古屋市立大学病院循環器内科を受診した心血管疾患の既往歴を有する患者を対象として血漿中miRNAの発現を検討し、特定のmiRNAの発現が有為に変動することを見いだした。なかでも、miR-126は血管内皮細胞に多く発現し、血中を循環することが知られている。冠動脈疾患を持たない患者ではLDLコレステロール(LDL-C)値と血漿中miR-126発現量が正の相関を示すのに対し、冠動脈疾患を有する患者ではLDL-C値と血漿中miR-126発現量は負の相関を示した。このことから、血管内皮機能障害の程度や血中LDL-C量に応じた血中へのmiR-126放出制御機構が存在する可能性が示唆された。 即ち、血中miR-126量の測定は血管内皮細胞の状態を反映したバイオマーカーとして利用できる可能性がある。 今後は、本研究によって得られたmiRNA候補の標的遺伝子の同定や培養細胞への導入を行うこと等により、miRNAによる動脈硬化症の進行への影響を検討する予定である。
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Research Products
(9 results)