2009 Fiscal Year Annual Research Report
走査型電子顕微鏡の新しい手法によるゴルジ装置の立体微細構造機能解析
Project/Area Number |
21790176
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
甲賀 大輔 Niigata University, 医歯学系, 助教 (30467071)
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Keywords | ゴルジ装置 / 細胞小器官 / 下垂体前葉細胞 / 走査型電子顕微鏡 / オスミウム浸軟法 / ポリエチレングリコール(PEG) / 試料作製法 |
Research Abstract |
本年度の研究では、光学顕微鏡(光顕)免疫組織化学染色切片と走査型電子顕微鏡(走査電顕)標本を正確に対比する方法を開発した。具体的には、免疫組織化学染色した光顕像をもとに、隣接ブロックの対応部を走査電顕で観察し、染色された細胞と同一細胞の走査電顕観察を行うといった、今までにはない斬新な方法である。また、この手法は、下垂体前葉のような一つの組織中に多数の細胞が混在する複雑な組織において、特に有効であり、これまで困難であった「走査電顕による下垂体前葉細胞の同定」が可能となった。さらに、正確に同定した下垂体前葉細胞のゴルジ装置やミトコンドリア、粗面小胞体などの細胞小器官の立体微細構造の解析も行った。その結果、下垂体前葉細胞のなかで、性腺刺激ホルモン産生(GTH)細胞のゴルジ装置が、最も良く発達していることがわかり、その形状が球体であることも観察することができた。また、試料として下垂体を用いる利点としては、前葉細胞ごとに刺激と応答の因果関係が明瞭であり、特定の細胞の機能を亢進させることで、その変化を経時的に解析し、機能状態と細胞小器官との関係を、時間軸をいれた形で解析することができることである。例えば、最近は、去勢によって機能が亢進したGTH細胞の細胞小器官(ゴルジ装置など)の形態的変化を解析している。つまり、本研究では、これまでの光顕・透過電顕切片の平面的解析とは異なり、超高分解能走査電顕により、初めて下垂体前葉細胞の立体微細構造と機能の関係を解明することが可能となった。さらに、隣接切片を組織化学標識することで、走査電顕により個々の細胞を正確に同定できるようになったので、下垂体に限らず、複雑な組織中で目的の細胞の変化を解析するための他の研究に大いに貢献することが期待できる(例えば内分泌腺では、膵島や消化管の散在性内分泌細胞で起こる病態の解析など)。
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