2010 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨形成における小胞体ストレスセンサーBBF2H7の生体内機能解析
Project/Area Number |
21790184
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
日野 真一郎 宮崎大学, 医学部, 助教 (00372699)
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Keywords | 細胞・組織 / 発生・分化 / 蛋白質 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
BBF2H7遺伝子欠損マウスは軟骨形成異常を呈する。BBF2H7欠損軟骨細胞ではCOPII小胞の形成抑制のため、II型コラーゲンなどの軟骨基質タンパク質の小胞輸送が障害されていた。また、軟骨細胞が分化・成熟する際に生じる小胞体ストレスをBBF2H7が感知していることを新規に見出した。しかしながら、どのようなメカニズムでBBF2H7が活性化するかは不明なままである。本研究では細胞内におけるBBF2H7の活性化機構を詳細に解析した。BBF2H7に結合する分子の探索を行ったところ、BBF2H7の活性化にプロテアソーム分解が関わる可能性を示す結果を得た。プロテアソーム阻害剤で細胞を処理したところ、小胞体ストレスがない状態でもBBF2H7のタンパク量が著しく増加した。すなわち、BBF2H7は通常ユビキチン-プロテアソーム系により分解を受け非常に不安定であることが明らかとなった。BBF2H7を分解する過程で作用するユビキチンライゲース(E3)を網羅的に探索したところ、小胞体膜上に存在するHRD1を同定することに成功した。HRD1が欠損するMEF細胞を用いてBBF2H7のタンパク質量を解析した結果、野生型MEF細胞に比べHRD1欠損MEF細胞では著しくBBF2H7のタンパク質量が増えていた。BBF2H7はHRD1と細胞内で複合体を形成しているが、小胞体ストレス時にはBBF2H7とHRD1の結合が抑制されることがわかった。本研究の意義は、タンパク質分解という視点から小胞体ストレスセンサーの活性化メカニズムを解明したことにある。このようなアプローチはこれまでに全く行われていない。本研究のようなアプローチにより軟骨形成メカニズムがさらに解明できれば、種々の軟骨疾患の治療法に応用できる可能性が高い。
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Research Products
(2 results)