2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790190
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
高野 和敬 Saitama Medical University, 医学部, 講師 (80364769)
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Keywords | 両生類 / イモリ / 初期発生 / 原腸陥入 / 形態形成 / 細胞運動 / カルシウムイオン / カルシウムイオンチャネル |
Research Abstract |
多細胞生物の「形づくり」において、「原腸陥入」を中心に進行する「原腸胚形成」は極めて重要な過程であるが、そのしくみについてはほとんど明らかにされていない。この時期の両生類胚から胚細胞を単離すると胚葉特異的かつ自律的な細胞運動がみられるが、その制御機構や原腸陥入に果たす役割は解明されていない。そこで本研究では、原腸胚形成のしくみの一端を明らかにする目的で、アカハライモリの単離原腸胚細胞にみられる自律的な細胞運動のしくみについて、カルシウムイオンシグナリングの面から解析を行った。その結果、(1)単離予定外胚葉細胞では、自律的なブレッブの形成とその周転運動がみられたとともに、(2)ブレッブ領域で局所的な細胞内カルシウムイオン濃度の上昇が認められた。一方、(3)フラスコ細胞を含め単離予定内胚葉細胞および単離予定中胚葉細胞では、細胞表面の収縮波を伴ってシリンダー状に細長く伸長する自律的な細胞運動がみられたとともに、(4)伸長端部分および細胞表面の収縮部位において局所的な細胞内カルシウムイオン濃度の上昇が認められた。さらに、(5)いずれの細胞運動も細胞外からカルシウムイオンを除去した条件下でも阻害されなかったが、(6)小胞体カルシウムイオンポンプの阻害薬であるタプシガルジン、および、カルシウムイオンチャネルの一種であるリアノジン受容体の阻害薬のダントロレンを投与することで阻害された。また、(7)蛍光標識リアノジンにより原腸胚内でのリアノジン受容体の局在を調べたところ、予定外胚葉、予定中胚葉および予定内胚葉のいずれの細胞においても局在が認められた。以上の結果から、初年度の研究において、単離された予定外胚葉細胞、予定中胚葉細胞および予定内胚葉細胞にみられる自律的な細胞運動は、リアノジン受容体を介して細胞内部の小胞体から放出されるカルシウムイオンによって制御されていることが明らかとなった。
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