2009 Fiscal Year Annual Research Report
三叉神経プラコードの特異性決定機構の新規アプローチと誘導に関する分子機構の解明
Project/Area Number |
21790193
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
重谷 安代 Jikei University School of Medicine, 医学部, 講師 (70431773)
|
Keywords | 三叉神経 / プラコード / 神経堤細胞 / 前プラコード外胚葉 / FGF / 頭部外胚葉 / 機能スクリーニング / ニワトリ |
Research Abstract |
脊椎動物の頭部外胚葉上に形成される三叉神経プラコードには独特な誘導機構が存在すると考えられている。当研究は関与の示唆される既知FGF8シグナル経路の役割についての解析と未知関連遺伝子の同定を試み、未踏分野である三叉神経プラコードの誘導機構の解明を目指す。 FGF8リコンビナントタンパク質をしみ込ませたビーズをニワトリ胚頭部外胚葉直下へ異所性に移植すると、感覚神経細胞は存在しながらも、ビーズ周辺の三叉神経プラコード特異的分子マーカーBrn3aの発現は抑制された。これについてFGF8シグナル抑制因子Sprouty2の優性阻害型コンストラクトを用いても同様の結果が得られた。一方でFGF8の供給源となっている峡isthmusの除去実験を行うと、Brn3aとPax3発現は増強された。つまり峡に発現するFGF8が頭部外胚葉上に発生する三叉神経プラコードの誘導と分化に抑制的に働くことが示唆された。 峡でFGF8発現が始まる胚発生段階は、頭部外胚葉上に形態学的三叉神経プラコードが観察される時期やBrn3aが発現し始める時期よりも早く、予定プラコード外胚葉(PPE)が形成される時期よりも遅い。つまりプラコードの特異性決定はPPE形成の後に起こると考えられた。そこでPPE外植片培養法を用いて三叉神経プラコードの特異性形成に関わるFGF8の効果について調べた。神経板にBMP4とFGF2を作用させて培養すると、頭部前方のPPEの特徴を備え持つ(SiX1,Pax3,Pax6,Pitx2ほか)。BMP4とFGF2とFGF8を作用させても形態に大きな変化は見られないことが分かり、現在FGF8の抑制実験と併せて各分子マーカーの発現を調べている。 未知関連遺伝子の同定実験に関しては、ハウスキーピング遺伝子の除去を行った後の候補遺伝子に対するmRNAをトランスジェニック魚胚へ注入して機能スクリーニングを進めている。
|