2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790194
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
坂部 正英 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00525983)
|
Keywords | レチノイン酸 / 心奇形 / 大血管転位 / 心内膜床形成 / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
妊娠マウスに過剰なレチノイン酸を投与すると、心内膜床形成が低形成になり、大血管転位が引き起こされる。本研究では、レチノイン酸による大血管転位発症の発生学的分子メカニズムを遺伝子発現制御に焦点をあてて解明することを目的としている。昨年度は、申請書に記載した「研究実施計画」のうち、以下の点を明らかにすることができた。 1)心臓形態形成過程におけるTbx2の意義 21年度の研究により、レチノイン酸で誘導された大血管転位マウス胚では、Tbx2の転写抑制が認められた。そこで、心内膜床形成とTbx2の関係を明らかにするためにTbx2のターゲット遺伝子を解析したところ、Tbx2は心内膜床形成に重要であるTgfβ2の発現を制御していることが明らかになった。 2)3次元器官培養モデルを用いた内皮-間葉形質転換回復実験 上述の研究結果により、レチノイン酸は発生過程の胎仔心臓のTbx2-Tgfβ2経路に影響を与えることが示唆された。そこで、3次元流出路培養モデルを用いて、Tgfβ2の機能獲得実験を行った。その結果、レチノイン酸処理した胚から採取した流出路では心内膜床形成が認められなかったのに対し、Tgfβ2を添加した群では心内膜床形成の回復が認められた。 以上の結果により、これまで不明であった大血管転位の発生学的根拠が明らかになりつつある。今後の実験としては、Tbx2遺伝子を利用して、大血管転位の表現型を回復できるか否かを検討する必要がある。
|
Research Products
(2 results)