2010 Fiscal Year Annual Research Report
肺における新規サーファクタントSCGB3A2の線維化抑制機序の解明
Project/Area Number |
21790207
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
黒谷 玲子 山形大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (00453043)
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Keywords | 肺線維症 / サーファクタント / SCGB3A2 / STAT1 / SMAD7 |
Research Abstract |
線維症患者数は細胞の損傷をきっかけとして、炎症、コラーゲン・マトリックス沈着を経過して発症する。難治性疾患であり、決定的な治療薬は存在しない。本研究では、抗炎症作用および増殖作用を持つSCGB3A2が線維化抑制能力を有すると考え、肺線維症におけるSCGB3A2の効果とその作用機序の検討を目的とした。ブレオマイシン(BLM)誘導性肺線維症モデルマウスにリコンビナントSCGB3A2を投与した結果、SCGB3A2が肺線維症を改善した。この時、マイクロアレイによってSCGB3A2の下流因子を網羅的に解析し、線維化を促進するTGFβシグナル伝達経路の遺伝子群が有意に変化していた。そこで、TGFβシグナル伝達経路に着目した。野生型成獣マウス肺から線維芽細胞を分離し、TGFβにより、筋線維芽細胞に分化させた時、SCGB3A2は筋線維芽細胞への分化抑制とコラーゲン遺伝子の発現抑制を示した。この時、SCGB3A2は線維化抑制に機能するSTAT1の活性化とSMAD7の発現を増加させ、線維化促進因子であるSMAD2の活性化を抑制していた。また、現在臨床で使用されるIFNγの受容体はSTAT1を活陸化させるが、SCGB3A2はIFNγ受容体に結合しないことを示した。さらに、病理学的解析により、喘息モデルマウス肺ではSCGB3A2の発現は低下するが、BLM誘導性肺線維症モデル肺では、SCGB3A2の発現は顕著に増加することを明らかにした。またSTATI、SMAD2の発現を調べ、培養系と一致する傾向が認められた。 本年度は、特に病理学的解析を詳細に検討し、TGFβシグナル伝達系に関与するキーファクターの発現がBLM誘導性肺線維症モデル肺でも同様な動向を示すことを明らかに、SCGB3A2がSTAT1経路を活性化させることで、TGFβシグナル伝達系を制御し、肺線維症を抑制することを明らかにした。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Differential Regulation of Vascular Tone and Remodeling via Stimulation of Type 2 and Type 6 Adenylyl Cyclases in the Ductus Arteriosus2010
Author(s)
Yokoyama U, Minamisawa S, Katayama A, Tang T, Suzuki S, Iwatsubo K, Iwasaki S, Kurotani R, Okumura S, Sato M, Yokota S, Hammond HK, Ishikawa Y
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Journal Title
Circ Res
Volume: 106(12)
Pages: 1882-1892
Peer Reviewed
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