2009 Fiscal Year Annual Research Report
腎皮質集合管における細胞容積調節に寄与する陰イオンチャネルの分子同定
Project/Area Number |
21790212
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
駒切 洋 Iwate Medical University, 医学部, 助教 (80405753)
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Keywords | 生理学 / 細胞・組織 / 生体膜 / チャネル |
Research Abstract |
腎集合管は最終的な尿の量と組成の決定に関わり、体液の恒常性の維持に重要な機能的役割を持つ。皮質部の集合管に流入する管内液の浸透圧は比較的低く、その値は水の再吸収量の調節の過程で大きく変動する。そのため皮質集合管では浸透圧の変動に応答した細胞容積調節メカニズムが常に働き上皮細胞の機能と恒常性の維持に重要な役割を果たしている可能性が考えられる。本研究課題ではこの皮質集合管における低浸透圧刺激時の調節性容積減少(RVD)に寄与する陰イオンコンダクタンスの詳細な電気生理学的性質を明らかにし、その分子実体を同定することを目指している。平成20年度はラットの腎臓を用いた皮質集合管の新鮮単離標本の作製と皮質集合管主細胞へのホールセルパッチクランプ法による全細胞電流の測定を行った。電極内液にCs-glutamateに富む溶液を使用し、さらに細胞外液中のNa^+及びK^+をNMDGに置換することにより陽イオンチャネル電流の混入を抑制した条件で実験を行った。ホールセル電位固定記録下で保持電位-30mVからステップパルス(-100mVから+70mV)を与えたところ、時間依存性に素早く不活化する外向き整流性電流が観察された。この電流は細胞外のCl^-をglutamateに置換することにより大幅に減少したことからCl^-電流であることが確認された。さらに-100mVから+100mVまでのランプパルスを与えながら細胞外液を低浸透圧溶液に置換したところ、Cl^-電流の振幅の増大が観察された。今後この低浸透圧刺激で増大したCl^-電流についてその電気生理学的性質とRVDへの寄与を詳細に検討する予定である。
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