2010 Fiscal Year Annual Research Report
腎皮質集合管における細胞容積調節に寄与する陰イオンチャネルの分子同定
Project/Area Number |
21790212
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
駒切 洋 岩手医科大学, 医学部, 助教 (80405753)
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Keywords | 生理学 / 細胞・組織 / 生体膜 / チャネル / クロライドチャネル / 低浸透圧 |
Research Abstract |
平成22年度は皮質集合管(CCD)新鮮単離標本を用いて、1.低浸透圧刺激による細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]_i)上昇メカニズム、2.非刺激時および低浸透圧刺激によって活性化するCl^-電流の薬理学的性質を調べた。1.CCDを低浸透圧刺激すると主細胞の[Ca^<2+>]_iが一過性に上昇し、この[Ca^<2+>]_i上昇は細胞外Ca^<2+>の除去により顕著に抑制された。電位依存性Ca^<2+>チャネルの阻害剤であるニカルジピンは、この[Ca^<2+>]_i上昇を有意に抑制した。さらにMn^<2+>クエンチ法を用いることで、低浸透圧刺激によって細胞外Ca^<2+>の流入が引き起こされることが明らかになった。このCa^<2+>流入はニカルジピンによって有意に抑制された。以上の結果から、低浸透圧刺激時の[Ca^<2+>]_i上昇にはニカルジピン感受性の細胞外Ca^<2+>流入経路が関与していることが示唆された。2.電極内液にCs-glutamate溶液、細胞外液としてNMDG-Cl溶液を用いてホールセル電流の測定を行った所、内向き、外向きともに時間依存性に素早く不活性化する外向き整流性のCl^-電流が観察された。このCl^-電流はNPPB(100μM)およびDIDS(1mM)によってそれぞれ75%,40%抑制されたがグリベンクラミド(200μM)には非感受性だった。細胞外液を低浸透圧溶液に置換すると、Cl^-電流の振幅が+90mVで30%、-90mVで87%増大した。さらに低浸透圧刺激後に内向き電流の不活性化速度の遅延が観察された。低浸透圧刺激によるCl^-電流の振幅の増大はNPPBによって大幅に減少したがグリベンクラミドには影響を受けなかった。Cl^-チャネルの阻害剤は特異性が高くないため薬理学的性質のみから分子を特定することはできない。詳細なイオン選択性及び細胞内調節因子、特に細胞内Ca^<2+>による調節の有無等の検討は今後の課題である。
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Research Products
(4 results)