2011 Fiscal Year Annual Research Report
p53依存的、非依存的細胞死を誘導する化合物の探索及び開発
Project/Area Number |
21790217
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
立田 大輔 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所・沼津支所, 研究員 (20442569)
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Keywords | がん / 分子標的 / p53 / Mdm2 / geraniin / 細胞死 |
Research Abstract |
がん細胞の増殖抑制、細胞死を目的としてがん抑制遺伝子であるp53を分子標的とした化合物の探索、開発を行っている。平成23年度はセルフリーのスクリーニングでヒットした化合物とセルベースのスクリーニングでヒットした化合物について解析を行った。 Mdm2-p53結合阻害のセルフリーのスクリーニングでは、植物から抽出したgeraniinの類縁体であるエラジタンニン類にもMdm2-p53の結合を特異的に阻害する事が分かった。Geraniinを含めたエラジタンニン類はmammalian two-hybridでもMdm2-p53結合を阻害する事から細胞内に於いてもMdm2-p53結合を阻害していると考えられる。 野生型p53の有無によって細胞死を誘導するセルベースのスクリーニングではp53依存的に細胞増殖抑制する微生物代謝産物がヒットした。この微生物代謝産物から化合物を生成した結果、新規化合物を5種類、見出す事に成功した。これらの化合物はそれぞれp53依存的に細胞増殖を抑制する事が分かった。 今回の研究成果はセルフリーのスクリーニング系のヒット化合物が細胞内でもMdm2-p53結合を阻害している事からスクリーニング系の妥当性を示す結果となり今後、マウスを用いたがん治療実験への期待が高まる大きな成果を得た。セルベースのスクリーニング系では5種の新規化合物を取得した。近年、新規化合物の発見は非常に困難となっている中でこれだけの化合物の取得は今後の目的達成への大きな原動力になる大きな成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で最も困難であったスクリーニングによる目的化合物の取得に成功し、それらの化合物の解析が順調に進展している為。
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Strategy for Future Research Activity |
植物由来のgeraniinは細胞内でのMdm2-p53結合阻害を明らかにしたので、in silicoでのMdm2とgeraniinのドッキングモデルの構築や、マウスを用いたがん治療実験を行い論文を作製する。 セルベースのスクリーニング系でヒットした新規化合物はターゲットの同定や担癌マウスに化合物を投与し抗腫瘍効果の評価を行う。実験と平行して新規化合物の特許を取得し、取得後論文発表を行う。
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