2009 Fiscal Year Annual Research Report
摂食調節因子A170の分子機能解明と抗肥満標的としての可能性の追求
Project/Area Number |
21790223
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
蕨 栄治 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (70396612)
|
Keywords | A170 / Sequestosomel / p62 / 摂食調節 / メタボリックシンドローム / レプチン / レプチン抵抗性 |
Research Abstract |
A170(別名Sequestosomel, p62, ZIP)は、酸化ストレスにより発現誘導される遺伝子として見出されたものである。その後、タンパク質分解経路であるオートファジーや自然免疫、また様々なシグナル伝達を調節する細胞内アダプタータンパク質として機能することが報告されている。我々は独自にA170欠損(KO)マウスを作製したところ、KOマウスは加齢とともに過食に起因する著しい肥満症、メタボリックシンドロームを呈することを見出した。本研究では、KOマウスが肥満を引き起こすメカニズムを解析することでA170の生理的機能を明らかにすることを目的とした。A170 KOマウスは摂食抑制ホルモンであるレプチンの作用がほとんど起こらず、レプチン抵抗性になっていることが明らかになっているが、この作用に関わるシグナル伝達の解析を行った。その結果、レプチンシグナルに重要な因子STAT3について、そのリン酸化はKOマウスでも正常に起きているものの、その後の核移行が起きておらず、レプチン抵抗性はこのステップの障害により生じていることが示唆された。このようなタイプの障害で起きるレプチン抵抗性はこれまでに例のないメカニズムであり、A170がどのような分子機序でここに関わっているのか注目される。
|