2010 Fiscal Year Annual Research Report
DHAによる認知機能向上作用における神経幹細胞の新生とアポトーシスの関係
Project/Area Number |
21790226
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
片倉 賢紀 島根大学, 医学部, 助教 (40383179)
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Keywords | ドコサヘキサエン酸 / 神経幹細胞 / 細胞周期 |
Research Abstract |
ドコサヘキサエン酸(DHA)によって記憶学習能力が向上することが報告されている。われわれの研究室では以前、DHAによりラット脳内の神経幹細胞からニューロンへの分化が促進されることを発見した。神経幹細胞が記憶形成に関与していることが報告されていることからDHAの記憶学習能力の向上作用には神経幹細胞の増殖や分化が関与していると考えた。本研究ではDHAが記憶の定着時に必要とされている神経幹細胞のアポトーシスに与える影響について検討した。ラットにDHAを8週間連続経口投与したところ海馬歯状回の神経細胞の新生数、新生細胞のニューロンへの分化率が増加した。また、その後の行動実験において、DHAの投与によって、学習機能の向上が認められた。これらの結果からDHAによって神経幹細胞のニューロンへの分化が促進されるだけでなく、神経幹細胞の増殖も促進されることが明らかになった。DHAによる神経幹細胞増殖作用機序を解明するために胎児脳から採取し培養した神経幹細胞を用いた。DHAは用量依存的に神経幹細胞の増殖を促進させた。また、アポトーシスはDHA処置によって減少した。細胞周期を測定した結果、増殖期(S期)の細胞の割合が増加し、G0/G1期細胞の割合が低下していた。DHAがどのようにして細胞周期に影響を与えるのかを検討するために細胞内情報伝達系に対する影響を検討した。DHAは増殖因子の作用を増強させた。これらの現象についてラットの脳内でも確認する予定である。以上の結果からDHAによって神経幹細胞のニューロンへの分化を促進するだけでなく、神経幹細胞の増殖も促進することによって記憶学習能力が向上するものと考えられた。
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Research Products
(5 results)