2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790230
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
筋野 貢 近畿大学, 医学部, 助教 (30460843)
|
Keywords | 体内時計 / 概日リズム / 末梢時計 |
Research Abstract |
本研究の目標は、末梢臓器の概日時計(末梢時計)の制御機構を解明することである。平成22年度には、主に糖質コルチコイドと摂食刺激による末梢時計への影響を観察した。実験には、副腎を切除して内在性の糖質コルチコイドによる影響を排除した副腎除去(ADX)ラットを用いた。我々は、平成21年度の研究で、糖質コルチコイドを朝方にADXラットへ投与すると、腎臓、肺の体内時計が投与時刻に同調するが、肝臓の体内時計は同調しないことを発見した。微量光測定装置を使用して作成した、培養組織の糖質コルチコイドに対する位相反応曲線は、肝、腎臓組織ともに同じであり、肝臓の末梢時計の位相調節には他の因子の影響が大きいことが示唆された。我々は、代謝性臓器である肝臓の体内時計は、摂食による影響を強く受けるのではないかと考え、次に制限給餌を用いた実験を行った。 給餌時刻を昼に限定した状態で、夕刻に糖質コルチコイドを投与し、肝臓、腎臓、肺の末梢時計への影響を測定した。糖質コルチコイドは、コルチコステロン27mg/kgを腹腔内へ7日間投与した。7日目に一日を通してサンプリングを行い、各臓器での時計遺伝子のmRNA量をリアルタイムPCR法にて測定した。その結果、肝臓では主要な時計遺伝子の日内発現リズムの位相が、給餌時刻に同調していた。しかし、腎臓、肺では時計遺伝子発現リズムはコルチコステロン投与時刻に同調していた。 この結果から、肝臓の体内時計の位相は摂食による刺激に強い支配を受けており、糖質コルチコイドによる刺激では容易に動かないことが明らかとなった。食事時刻が偏ると、肝臓の体内時計が影響を受けやすいことが示唆された。また、慢性ストレスなどによる糖質コルチコイド分泌の異常が、腎臓や肺の体内時計を撹乱する可能性が考えられた。
|
Research Products
(1 results)