2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790231
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
平田 豊 Hyogo College of Medicine, 医学部, 助教 (10441247)
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Keywords | 二酸化炭素 / 中枢化学受容器 / 延髄 / 水素イオン濃度 / 培養細胞 / カルシウム応答 / グリア細胞 / TRP |
Research Abstract |
延髄は血液ガスとpHの恒常性の維持に重要な役割を担う中枢化学受容器が存在するが、その化学受容器及びその発現細胞は同定されていない。本研究では、延髄由来のニューロン細胞、グリア細胞の共培養系の安定的な単離法を確立している。この細胞に蛍光色素であるFluo-4やSNARF-1を染色し、特殊高速高感度光計測システムを用いてCO_2/pH負荷によるCa応答及び細胞内pHのイメージングに成功している。これまでにpH6.8のHEPES緩衝溶液の負荷に対するCa応答はタランチュラ毒由来のpsalmotoxin 1によって阻害されることから、pH7.0以下の酸性で活性化するASIC1aを介したCa流入であることを見出している。一方で、生理的な範囲の5%CO_2から12%CO_2へ通気を変化させた26mMHCO_3緩衝液では、細胞外pHが7.4から7.1への変化であるにも関わらず、細胞内Ca上昇が観察された。従って、細胞外pHではなくCO_2負荷によりCa応答が引き起こされると推察された。perforated patch-clamp法により、このCa応答は2.34mVの膜電位変化を伴っていた。このl-V curveの解析により、グリア細胞であると同定できた。さらに、細胞内pHのイメージングにより、pH7.23から7.12に酸化していることを見出し、この細胞内酸化と細胞内Ca応答が、炭酸脱水酵素の阻害剤によって阻害された。従って、負荷したCO_2は炭酸脱水酵素によって触媒され、細胞内を酸化し、Ca応答を誘発する経路が推定された。この細胞内酸性化を感知し、Ca応答を引き起こすCaチャネルの候補は、薬理学的スクリーニングの結果、サブタイプV1、M8などのransient receptor potential(TRP)が推定された。現在、この成果を論文投稿中である。
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