2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790231
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
平田 豊 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10441247)
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Keywords | TRP / 中枢化学受容器 / グリア細胞 / カルシウム応答 / 二酸化炭素 / 水素イオン濃度 / 延髄 / 培養細胞 |
Research Abstract |
本年度の研究では、血液ガスとpHの恒常性の維持に重要な役割を担う中枢化学受容器が、脳幹延髄来のグリア細胞に存在していることを示した。即ち、延髄由来のニューロン・グリア共培養細胞を用い、CO_2/pH負荷によるCa応答及び細胞内pHのイメージングを行った。その結果、細胞外pHではなくCO_2負荷によりCa応答が引き起こされると推察された。更に、perforated patch-clamp法により、このCa応答にて膜電位変化が起き、I-V curveの解析により、グリア細胞であると同定できた。細胞内pHのイメージングにより、細胞内のpH低下(酸化)に伴い、Ca応答が起きていることが示唆された。この細胞内酸性化を感知し、Ca応答を引き起こすCaチャネルの候補として、薬理学的スクリーニングの結果、サブタイプV1、M8などのransient receptor potential (TRP)が推定された。また、脳幹延髄由来グリア細胞にTRPV1、M8が発現していることをRT-PCRにて確認した。従って、延髄グリア細胞に発現するTRPチャネルが中枢化学受容機能を持つことを見出した。この成果を論文にて報告した(Hiratra & Oku Cell Calcium 2010)。 更に、TRPの他のサブタイプの可能性も示唆されることから、それらの発現を特異的に抑制するRNAi搭載プラスミドを作製した。このプラスミドは同時に発現する赤色蛍光性蛋白質により細胞を同定できる。ネッパジーン社製の遺伝子導入装置を用いて、この赤色性蛍光性蛋白質の発現が、これまで困難であった神経やグリア細胞において成功している。現在、Ca応答と組み合わせたTRPサブタイプの同定を検討している。また、個体レベルでの換気応答が減弱するか否か評価できるwhole body plethysmography法が確立しており、TRPの遺伝子欠損マウスの検討準備中である。 本研究により、これまで謎であった中枢化学受容器としてTRPが化学性呼吸調節の働きを持つこと示唆できた。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Ca2+ overload and sarcoplasmic reticulum instability in tric-a null skeletal muscle.2010
Author(s)
Zhao X, Yamazaki D, Park KH, Komazaki S, Tjondrokoesoemo A, Nishi M, Lin P, Hirata Y, Brotto M, Takeshima H, Ma J.
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Journal Title
Journal of Biological Chemistry
Volume: 26
Pages: 37370-37376
Peer Reviewed