2009 Fiscal Year Annual Research Report
性周期形成のメカニズムにおけるGABA興奮性作用の役割
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21790234
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
渡辺 美穂 生理学研究所, 発達生理学研究系, 特任助教 (10399321)
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Keywords | GnRH / GABA / KCC2 / 性周期 |
Research Abstract |
脳による生殖内分泌調節の最終共通路は視床下部に存在するGnRHニューロンである。成熟雌マウスでは、4日に一度、GnRHニューロンからGnRHが大量分泌され、その結果、下垂体より黄体形成ホルモンの大量分泌が起こり、排卵が引き起こされる。GnRHニューロンは視床下部に散在しているにもかかわらず、周期的な大量分泌を引き起こすメカニズムは明らかになっていないが、多数のGnRHニューロンの活動性の同期が関与していると考えられる。これまでに、GnRHニューロンは成熟動物の脳内において主要な抑制性伝達物質であるGABAが興奮性に作用しているという非常に特有な性質を持つこと明らかにしており、GABAの興奮性作用のGnRHニューロンの活動性制御への関与が強く示唆される。本研究では個体レベルでGnRHニューロンにおけるGABA興奮性作用の役割を明らかにするために、テトラサイクリン遺伝子発現誘導系を用いて、GnRHニューロンで時期特異的にKCC2遺伝子を誘導することにより、さまざまな時期にGnRHニューロンでGABAの作用を興奮性から抑制性に変化させることができるマウスの作出を行った。GnRHニューロン特異的にtTA蛋白質(テトラサイクリン制御性トランス活性化因子)を発現するBACトランスジェニックマウスを作出し(GnRH-tTAマウス)、GnRH-tTAマウスとKCC2の翻訳開始部位直前にtetO配列をノックインしたマウス(KCC2-tetOマウス)を交配させ、GnRH-tTA/KCC-tetOマウスを得た。このマウスではドキシサイクリン依存性に、GnRHニューロンでKCC2を発現誘導させることが出来ることをin situ hybridizationにより確認した。今後はこのマウスを用いて、性周期中にKCC2発現を誘導させることで、GnRHの大量分泌に変化がみられるか明らかにしていく。
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Research Products
(7 results)