2009 Fiscal Year Annual Research Report
カルシトニン遺伝子関連ペプチドによる免疫反応制御と肝保護作用機序の解明
Project/Area Number |
21790240
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
神吉 昭子 Shinshu University, 医学系研究科, 助教 (10397309)
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Keywords | 生理活性物質 / 肝臓学 |
Research Abstract |
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は、血管拡張作用などの多彩な生理活性を有するペプチドであり、肝臓においてもCGRP受容体の発現が認められている。我々はこれまでに、CGRP特異的ノックアウトマウスを用いて、内因性CGRPが肝障害抑制作用を有することを明らかにしている。CGRPによる肝障害抑制作用としては、免疫反応の調節や細胞保護、線維化の抑制などが考えられるが、肝臓におけるCGRPの病態生理学的意義の詳細は不明である。本研究では、急性及び慢性肝障害モデルにおいて、CGRPによる肝臓保護作用のメカニズム、免疫反応機序を解明し、肝疾患に対する新たな治療法への展開をはかることを目的とした。 CGRP特異的ノックアウトマウスを用いた実験により、コンカナバリンA(Con A)誘導急性肝炎モデル及び慢性肝障害モデルにおいて、内因性CGRPが肝障害抑制作用を有することを明らかにした。CGRPが肝治療に有用であるか検討するため、Con A誘導急性肝炎モデルにおいて、外因性にCGRPを投与した時の肝障害抑制効果を調べた。その結果、Con A投与前にCGRPを投与したマウスにおいて、肝障害の指標であるトランスアミナーゼ(ALT、AST)値の上昇が有意に抑制され、肝細胞のアポトーシスも抑制されたことから、外因性CGRPが肝臓保護作用を有することがわかった。これらの結果から、CGRPが肝疾患に対する新たな治療法として有用であると考えられ、慢性肝障害モデルにおいても同様の効果が得られれば、肝臓保護におけるCGRPの重要性が明らかになると考えられる。
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Research Products
(1 results)