2010 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン/インスリン様成長因子受容体シグナル発現調節機構の解明
Project/Area Number |
21790244
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
根本 隆行 宮崎大学, 医学部, 助教 (90506833)
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Keywords | インスリン受容体 / IGF-I受容体 / GSK-3β / mTOR / tau / Na_v1.7 |
Research Abstract |
神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症)においてインスリン受容体およびインスリン様成長因子(IGF-I)受容体の発現異常が見られる。したがって、それらの発現レベルを通常レベルに保持することが神経変性疾患予防へ繋がると予想される。本研究において申請者は(1)IGF-I受容体発現がGSK-3βおよびmTORを介してhomologousに調節されていること(Nemoto et al., 2010)、(2)インスリン受容体およびIGF-1受容体シグナル分子であるGSK-3βは、Na_v1.7からのNa^+流入→Ca^<2+>流入→ERK/p38活性化により、Ser^9リン酸化/不活性化され、その結果tauの通常リン酸化量が低下したこと(Nemoto et al. 2010)を明らかにした。(1)、(2)の研究成果はそれぞれ海外雑誌European Journal of PharmacologyとNeuropharmacologyに発表された。インスリンおよびIGF-I受容体シグナル機能低下、tauの過剰リン酸化はいずれもアルツハイマー病患者に共通してみられること、近年インスリンの点鼻/髄腔内投与による記憶学習の改善が報告されていることから、インスリンおよびIGF-I受容体シグナルは神経変性疾患治療にむけた創薬ターゲットになりうる。したがって本研究成果より得られる情報は、今後の創薬研究に貢献できうる点で非常に重要であると考えられる。
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