2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790245
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
遠藤 智史 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (60433207)
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Keywords | AKR1B10 / イソプレノイド / 癌 / 構造活性相関 / アルドーケト還元酵素 |
Research Abstract |
(1)プレノイド代謝酵素の阻害剤の探索 これまでに20α-HSDの阻害剤として3,5-dichlorosalicylic acidをリード化合物とし、より強力な阻害剤として3-bromo-5-phenylsalicylic acidを見出している。3位と5位の置換基をそれぞれ変えた誘導体を新たに合成し、現時点で最も強力な阻害剤3-chloro-5-phenylsalicylic acidを創製し、その20α-HSDとの複合体の結晶構造を解析し、結合様式を明らかにした。また、抗腫瘍作用が報告されている非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)によるAKR1B10阻害活性を検討した。その結果、NSAIDsはAKR1B10を構造類似酵素であるアルドース還元酵素よりも約50倍強力に阻害し、その阻害定数K_i値はこれら薬剤の臨床投与時の血中濃度より約10倍低く、NSAIDsによって報告されている抗腫瘍作用の一序として、AKR1B10阻害活性が含まれる可能性が示唆された。 (2)乳癌細胞におけるプレノイド代謝に及ぼすプレノイド代謝酵素阻害剤の効果 ヒト乳癌MCF7細胞において、20α-HSD、17β-HSD5型が高発現している一方でAKR1B10の発現量は低い。そこでMCF細胞におけるfarnesal還元反応に及ぼすプレノイド代謝酵素阻害剤の効果を検討したところ、PGFS阻害剤の濃度依存的な阻害効果が確認された。その中でもPGFSの強力かつ特異的阻害剤であるtolfenamic acidは20μMの濃度において、farnesal還元反応を約50%阻害した。20α-HSD及びAKR1B10の阻害剤ではほとんど阻害効果が認められなかったことから、PGFSがMCF7細胞におけるfarnesal還元反応の主酵素であることが示唆された。
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