2010 Fiscal Year Annual Research Report
活性酸素による肝疾患重症化機構の解明と治療への応用
Project/Area Number |
21790246
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
松野 邦晴 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (50420708)
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Keywords | 活性酸素 / NADPH oxidase / 肝疾患 |
Research Abstract |
肝疾患の重症化において重要なステップである肝線維化における、新規活性酸素産生酵素NOX1/NADPH oxidaseの役割を明らかにするため、Nox1遺伝子欠損マウスを用い検討を行った。 胆管結紮法により肝線維症モデルを作成し、その解析を通じて以下の知見を得た。 ・モデルマウスの肝臓においてNOX1 mRNAの顕著な発現上昇が認められる。 ・Nox1遺伝子欠損マウスでは肝障害の発症が抑制されている。 ・Nox1遺伝子欠損マウスでは肝臓の線維化および活性化肝星細胞の増加が抑制されている。 これらの結果は、NOX1が肝線維化において重要な役割を果たしている星細胞の活性化あるいは増殖に関与している可能性を示唆していると考えられた。そこで、星細胞におけるNOX1の役割を検討するため、マウスより単離した星細胞の初代培養細胞を用いた検討を行い以下の知見を得た。 ・星細胞の活性化に伴い、NOX1 mRNAの発現上昇と活性酸素の産生増加が認められる。 ・NOX1遺伝子欠損マウス由来の細胞では、その活性化ではなく増殖が抑制されている。 ・NOX1遺伝子欠損マウス由来の細胞では、PTENの酸化が抑制されていると同時に、Aktのリン酸化が亢進している。 以上の結果、肝臓の線維化過程においてNOX1由来の活性酸素種はPTENを酸化し不活性化させることにより、Aktの脱リン酸化を抑制し、星細胞の増殖を促進することで、肝臓の線維化に促進的に働いていることがあきらかとなった。
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