2009 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性細小血管障害における内皮由来過分極因子シグナルに対するAGEの影響
Project/Area Number |
21790252
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
松本 貴之 Hoshi University, 薬学部, 助教 (30366835)
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Keywords | 糖尿病 / 血管内皮細胞 / インスリン / AGE / CML / 細小血管障害 / 血管内皮由来収縮因子 / エンドセリン |
Research Abstract |
長期的に罹患した糖尿病モデルラット(STZラット)において、AGEの一つであるCMLの量が増加していた。このモデルの冠血管において、対照群と比較してACh、ET-1による収縮反応性の増大、ET-1前駆体(Big ET-1)による収縮反応性の増大、Big ET-1からET-1への変換速度の増大を見いだした。CML処置により対照動物において上記の収縮反応が増強したが、STZ群では増強せず、脱感作している可能性が示唆された。糖尿病群あるいはCMLによるこれらの反応性の異常には、酸化ストレスが一部関与していることを見いだした。長期的に罹患した2型糖尿病ラット(OLETFラット)においては、血管内皮由来因子のバランス異常(過分極因子EDHF低下、EDCF増大)が起こっているが、PDTCによって血管収縮性プロスタノイドシグナルを特異的に抑制されることを見いだした。高血圧を呈さない2型糖尿病ラットであるGKラットは腸間膜動脈において、長期的に罹患した病態下において、ET-1収縮の増強、EDHFシグナルの減弱が起こっているが、このモデルにおいてARBであるロサルタンを慢性投与することによって、NO系、ERK経路を是正することによるET-1収縮の正常化、Ca2+-activated K+ channels障害を改善することによるEDHFシグナルの改善が起こることを見いだした。これにより、angiotensin IIが糖尿病時における血管内皮機能障害に関与すること、ET-1とクロストークすることが明らかとなった。AGEは、糖尿病が長期的に持続するような病態下において多彩な機能障害を引き起こすが、本研究によって、糖尿病を長期的に罹患したモデルにおける血管反応性の異常ならびにその分子メカニズムの一端が明らかとなり、この異常に対してAGEが引き金になっている可能性が明らかとなった。
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Research Products
(22 results)